発達障害がある女子高生 ・晴明ヒカルさん 佐世保市立図書館で作品展 見て楽しくなれる絵を 明るい感情や女性モチーフ

晴明さんが手掛けた絵や陶器=佐世保市立図書館

 発達障害がある佐世保市内の女子高生、晴明ヒカルさん(18)=ペンネーム=が、手掛けた絵や漫画、陶器などを集めた作品展を宮地町の市立図書館で開いている。周囲になじめず壁にぶつかりながらも、見て楽しくなれる色彩豊かな絵を描いてきた。「絵は楽しむもの。『何これ、不思議』と感じてもらいたい」

 スケッチブック、書きかけの漫画…。いつも肩に掛けているバッグには、さまざまな道具が入っている。「描きたいと思ったときに描きたいから」。明るい声で、取り出したペンを握った。
 晴明さんは中学生のころ、発達障害の一つ「自閉症スペクトラム障害」と診断を受けた。人とのおしゃべりが好きだが、集団行動や相手との距離感を測ることは苦手。手当たり次第に話し掛けたり、言葉足らずで相手に誤解を与えたりした。気が付けば1人になっていた。思春期に入ると、休み時間の教室のにぎやかさでパニックになり、過呼吸の発作を起こすように。同級生からの無視やSNSでの悪口も始まり、不登校も経験した。「孤独との闘い」だった。
 小さいころから絵は大好きだった。日々の怒りや焦りも投影しなかった。「落ち込んだ人の絵は暗いし、見ていてつらい」。水彩絵の具や色鉛筆を使い、花や動物などと幾何学模様を織り交ぜた作品を描いた。
 モチーフは暮らしの中で感じる明るい感情や女性。妊婦のおなかに触れて赤ちゃんの動きを感じたときの感動は、胎児の周りをクジラやハスの花が囲む絵にした。飼っていた文鳥を懐かしむ思いは、大きな文鳥の横にカラフルな模様の集合体を描いて表現した。
 1年ほど前から漫画などに投稿する際、現在のペンネームを使うようになった。市立図書館でさまざまな人が展示会を開いていることを知り、作品を披露しようと決めた。
 現在は体調を見ながら通信制高校に通っている。焼き物の専門学校への進学が目標だ。「生きづらさはあるが腐ったら負け。図書館に来る人の目にとまれば、うれしい」。ペンネームのように、晴れやかな表情で前を見据えた。
 作品展は2月9日まで(1月27日~2月3日は休館)。

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