「自分には責任能力ある」 被告、弁護側の無罪主張を否定 相模原障害者施設殺傷事件

横浜地裁

 相模原市緑区の県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告(30)の裁判員裁判の第8回公判が24日、横浜地裁(青沼潔裁判長)であった。この日から被告人質問が始まり、被告は「自分には責任能力があると考えている」と述べ、心神喪失状態により刑事責任能力が認められず無罪としている弁護側の主張を否定した。

 弁護側の主張への考えを尋ねられた被告は「自分の責任能力を争うのは間違っている」と強調。「責任能力がなければ死刑にすべきだ」と述べた。「意思疎通がとれない人間は安楽死させるべきだ」「意思疎通が取れない人間は『心失者』と呼んでいる」などとも語り、従来通り差別的な発言を繰り返した。

 被告は、黒のスーツに白のワイシャツ姿で出廷。上着のポケットに入れたハンカチで汗を拭う場面も見られた。午後も弁護側の被告人質問が行われる予定。

 起訴状によると、被告は16年7月26日未明、やまゆり園に侵入し、包丁で突き刺すなどして入所者19人を殺害したほか、職員2人を含む26人に重軽傷を負わせた、とされる。

 公判は事実関係に争いはなく、被告の刑事責任能力の有無や程度が争点。被告が常用していたとされる大麻などの薬物を巡り、影響は限定的で完全責任能力があったとする検察側に対し、弁護側は乱用による精神障害の影響で心神喪失状態だったと主張している

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