「若者の政治離れ」と言われて久しいですが、政治に関心を持つ若者がいないわけではありません。ただ、政治に関心を持ち活動している若者は同世代の中でマイノリティです。
それでも、同じ「若者」として、少しでも同世代にこの熱を伝えられたらと思っている人たちは多くいます。
そんな若者の持つ課題を解決するヒントになるのではないかと考え、日本財団が実施した「18歳意識調査」を政治に関する活動している学生たちと読みながらあれこれ話してみました。彼らは、政党の学生部や議員事務所、学生団体や政治に関するスタートアップに所属し、政治に関する活動している学生たちです。同じ若者としてどのようなことを感じたのでしょうか?
今回は、調査の中でも日本を含む9か国で調査された「国や社会に対する意識」について考えました。先月の記事(「日本の10代の『現在地』とは?『18歳意識調査』を読み解く」)では絶望的な調査結果について取り上げていますが、今回は同じ「若者」として、どうしてこの結果が出ているのかなどこの会で出た意見や印象に残っていることをご紹介します。
また最後に、様々なアプローチで「若者の政治離れ」について取り組んでいる団体で集まった時の男女比率や政治家になりたい人の割合から筆者が感じたことを伝えます。
1.若者が「社会を変えられる」と言えないワケ
18歳意識調査によると、日本の18歳は世界各国と比較して自分で国や社会を変えられると思っていないようです。
社会を変える「成功体験」したことある?
今回政治関連の活動をしている12人で意見交換をしましたが、その中の大半が社会を変えられると思っていました。理由を聞いてみると共通するのは、それぞれ活動を通じて「成功体験」を得ているということ。政治家に意見を伝えるなどの経験していると、そういう実感が湧きやすいのだろうなと思いました。
30人の教室だって立派な「社会」
「変える」という言葉は大げさに聞こえてしまうのかもしれません。確かに、日本を一気に大きく変えるのは難しい。だけど、小さな変化は起こせるはずですし、それを「社会を変える」と呼ぶとしたら、私たちだって「社会を変えられる」と言っていけるのではないでしょうか。
2.日本の将来について良くなると思えない
メディアでみる日本の将来「少子高齢化」「失われた30年」
私たちが育ったのは、「少子高齢化」「失われた30年」など将来に対する展望が明るく語られていない時代でした。メディアや教育現場で良く耳にすることが、若者の意識にも影響しているのかもしれません。
また、「分からない」という回答が32%も。これは、9ヶ国中最多の数値であり、見通しを持てていない日本の18歳も多くいるようです。
将来への見通しの意識は、その国の状況が良く表れる
「悪くなる」という回答の割合が一番多かったのは、ブレグジットが話題となっているイギリスでした。日本はイギリスに次いで2番目という結果に。国の政治情勢が与える影響も大きいようです。
また、中国やインドなどの新興国では「良くなる」と回答する若者が多くなっています。やはり右肩上がりに経済成長を実感している国々の若者は、将来に対してもそのような印象を抱いているようです。
3.「気候変動対策」への問題意識はまだまだ低い
まだまだ大きな問題として政治のテーマになっていない
12人の中でも、気候変動対策は大きな問題で難しいという声も上がりました。筆者が気候変動について問題意識が高いデンマークに留学していた時に、政治の活動をしている若者たちが最重要テーマとして気候変動をあげて活動しているのを見てきました。一方日本では、政治について活動している人たちの中でさえも、最重要テーマとして扱っている人がまだそう多くもないことを実感しました。
(おまけ)「政治」に関する活動をしている学生で集まると…
その1.12人のうち、女性は2人!
今回の会に参加してくれた12人のうち、女性はわずか2人でした。NO YOUTH NO JAPANのメンバーは9割が女性なので、この状況には驚きました。投票率に男女の差は見られませんが、参加者の男女数をできるだけ均等にしようとすることは国会だけじゃなく、このようなところでも必要であると反省しています.
政治に関するジェンダーギャップ指数144位は、私たちU30世代からも変えていけることがあるようです。
その2.「政治家志望」の人が多い
12人の中でアンケートを取ってみると、政治家になりたい人が75%という結果に。NO YOUTH NO JAPANのメンバーのうち政治家になりたいと言っている人はほとんどいません。そのため筆者としてもかなり驚きました。
でもこれだけ政治にパッションを持っている学生がいるのだから、この熱が伝播してもう少し多くの同世代に影響を与えられるようになるといいなと思いました。
若者が超党派で集まると良いことがある!
今回集まった学生の中でも、それぞれが違う政治的意見を持っています。ただ、同じ若者として、これからの社会を一緒に生きていく仲間として、交流し深め合いながら進んでいきたいと思える人たちです。
【引用】
https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/11/whaproeig_97.pdf (PDF)
(参考→https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/11/whaproeig_98.pdf (PDF):日本について詳しく)