『ボイド・テラリウム』だけじゃない! “本当は怖い”日本一ソフトウェア作品に迫る─リアルに重い『クリミナルガールズ』、開始2分でトラウマ級の『夜廻』【特集】

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『ボイド・テラリウム』だけじゃない! “本当は怖い”日本一ソフトウェア作品に迫る─リアルに重い『クリミナルガールズ』、開始2分でトラウマ級の『夜廻』【特集】

日本一ソフトウェアといえば、最凶のやり込み要素で有名な『魔界戦記ディスガイア』シリーズなどが有名ですが、積極的に新規IPの開拓に励んでいることでも知られています。

2020年1月23日発売の『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』(以下、ボイド・テラリウム)も、そんな意欲作のひとつ。本作は、人類最後の少女「トリコ」を守るため、プレイヤーは「お世話ロボット」となり、危険なダンジョンへ挑むローグライクRPGです。

『ボイド・テラリウム』で注目したい点は、本作の軸とも言える存在の「トリコ」。彼女は有毒な菌類に汚染されており、「テラリウム」の中でしか生きられません。また彼女は、食べ物に蓄積された毒物や環境の変化が原因で、体調を崩すこともしばしばあります。

「トリコ」を襲う症状は、「風邪」「骨折」といった一般的なものから、「にわとり化」「ゾンビか」といった、この世界ならではのものまで様々。ドロドロに溶けてしまう「液状化」は、ビジュアルも含めてかなりヘビーな状態です。

同社は様々なジャンルを手広く扱っており、『流行り神』シリーズなどのホラー作品もあります。しかし、一見可愛い見た目ながら、容赦のない描写や衝撃的な展開でユーザーを戦慄させるゲームも少なくありません。

そこで今回は、『ボイド・テラリウム』のように、見た目からは想像もつかない“ゾクッ”と来る同社のタイトル3作品をピックアップし、独断で紹介させていただきます。この特集を通じて、「日本一ソフトウェアの怖いゲームは、ホラーだけじゃない!」と力強くお伝えしたい所存です。この想いが届きますように・・・!

なお、各作品の内容について触れるため、一部ネタバレを含みます。その点について、あらかじめご注意ください。

◆少女たちの“罪”がリアルに重い『クリミナルガールズ』

セクシー要素とRPGの組み合わせはかなり相性が良く、一時期はPC市場で数多く見られました。もちろん家庭用ゲーム機にも数多く登場しており、2010年に発売されたPSPソフト『クリミナルガールズ』も、この組み合わせに当てはまります。

画像は『クリミナルガールズ』のものです

ですが、『クリミナルガールズ』はセクシー要素だけに頼っておらず、ターン制のシステムとプレイのテンポ感を両立させたゲームシステムが好評を博し、RPGとしてもしっかり面白い作品に仕上がっています。そのためプレイ満足度が高く、根強く支持するファンも少なくありません。シリーズ最新作に当たる『クリミナルガールズX』の

クラウドファンディング

が成功した件を見ても、その人気ぶりが窺えます。

そして、『クリミナルガールズ』の人気を支えているのは、セクシー要素とユニークなゲーム性だけではありません。将来的に罪を犯すであろう「半罪人」と呼ばれる少女たちが、その更生を目的として「ヨミガエリ」と呼ばれるプログラムに挑む物語も、本作が評価されている特徴のひとつです。

画像は『クリミナルガールズ』のものです

未来の犯罪者(少女たち)と、彼女らを導く主人公(教官)の関係性は、状況的に最悪なこともあり、かなり劣悪な状態から始まります。しかも、セクシー要素である“おしおき”は戦力強化にも繋がる一方で、当たり前ですが少女たちは嫌がるため、関係の改善もなかなか捗りません。

画像は『クリミナルガールズ』のものです

──が、「泥ノ試練」や「炎ノ試練」などを突破していくうちに、少女たちは次第に心を許し始め、信頼感も芽生えていきます。特に、疑心暗鬼に駆られるギミックがある「氷ノ試練」突破後は、その苦難を乗り越えたためか、主人公と少女たちは「仲間」と呼んでも差し支えのない関係へと成長します。

画像は『クリミナルガールズ INVITATION』のものです

ここまでは、ある意味順当な“人間関係の構築”が描かれており、そのままラスボス戦→エンディングを迎えてもおかしくない流れでした。しかし、そんな一行に立ちはだかった新たな試練「学び舎、16時の記憶。」で、状況は著しく一変。ここで、なぜ少女たちが「半罪人」となったのか──その理由が明らかとなります。

画像は『クリミナルガールズ INVITATION』のものです

周囲に置いていかれるのが怖くて、ブランド品を買い集めたキサラギは、そのために援助交際(ご飯やカラオケなど)に手を染めた過去が明らかに。双子のサコは、妹であるユコに依存し、自分の元を離れないよう“目の離せない姉を”演じ続けました。またユコは、そんなサコを利用し、面倒を全て押しつけて要領よく生きてきたことを暴露されてしまいます。

RPGに波乱や困難はつきものですし、例えば世界の命運を背負わされたり、信頼していた親友に裏切られるといった重みのある展開も少なくありません。しかし、等身大の少女達が抱えている重みは、プレイヤーの身近にあってもおかしくない話ばかり。その距離感の近さゆえに、リアルな重みをずっしりと感じさせてくれます。

画像は『クリミナルガールズ INVITATION』のものです

特に衝撃的だったのは、美人で人当たりもいいトモエの罪。その美貌と印象を武器に、周囲の人間関係に亀裂を入れ、人の心を弄んで楽しむのが彼女の日常でした。その愉悦は、彼女の従姉妹にもおよび、縁談まで壊れてしまい・・・まさかRPG(しかもセクシー要素ありの!)で、こんな切り口の重さを味わうとは思わず、ノーガード状態からのフルコンボ。まさに、衝撃的の一言でした。

不意打ちとも言えるリアルな重みに、思わず“ゾクッ”とさせられる──こんなRPG作品を、忘れられるわけがありません。ホラー的な意味合いではない“恐ろしさ”が、ここにあります。

このほかの少女たちの罪も、なかなかヘビーなものがあるので、気になった方はぜひプレイをどうぞ。今遊ぶならば、原点であるPSP版よりも、PS Vita/PC版の『クリミナルガールズ INVITATION』がお勧めです。なぜなら、罪が明かされる少女が更に増えるので・・・!


このゲームの主人公にだけは、絶対になりたくない・・・

◆包丁や流血に惑わされるな・・・『ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。』の主人公には絶対になりたくない

“本当は怖い”日本一ソフトウェア特集、その2本目の作品として取り上げたいのが、『ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。』です。タイトルからも分かる通り、美少女たちに好かれるハーレム的な展開から始まり、修羅場なヤンデレ地獄へと突入します。

3人の美少女「有末陽佳」「尊海神無」「宮主佐優理」と、主人公の「如月優也」は、幼い頃からの幼なじみ。時間と共に思い出を重ねていき、思春期を迎えたことで、彼女たちの気持ちは優也への好意として表現されるようになりました。対する優也は(ゲーム設定的に当然ですが)、特定の誰かを選ぶことなく、今の関係を壊さないように振る舞っています。

そんな関係性で始まった本作は、前述の通りハーレム的な雰囲気が続きますが、ある事件を経て彼女たちの在り方も大きく変わります。愛情の示し方が過激さを増したり、殺人事件と平行して行方を眩ましたり、ツンデレな生徒会長「九条静香」が被害者となったり・・・。

ルートにもよって内容は変化しますが、撲殺に刺殺、血みどろな流血騒ぎに発展。幼なじみたちが優也を精神的に追いつめ、バッドエンドでは優也自身を殺してしまうこともあります。その理由も様々で、中には「次の生まれ変わりをお待ちしています」と、(ねじ曲がりきった)愛情ゆえというケースもあり、主人公に同情した気持ちも湧いてくるほどです。

包丁や金属バットで流血を呼ぶ陰惨なシーンが多いため、サイコパス的な恐ろしさが目立っているゲームですが、本当に恐ろしい場面は陽佳ルートの結末(実質的なトゥルーエンド)で訪れます。

ネタバレ前提の特集とはいえ、そのシーンを事細かに説明すると、本作で最も大きな秘密を明かすことになります。さすがにそれは憚られるので、ある程度ボカした表現となりますが、これまでのルートで貼られた伏線や謎めいた部分は、この陽佳ルートでほとんど解消します。

そして、陰惨な事件も幕を引き、また3人と優也のハーレム生活が再スタート。ですが──優也という人間が完全否定され、そこに彼自身の喜びは幸せは一切見い出せません。少なくとも筆者は、そう感じました。また、怒りや憎しみすらもなく、強いて言えば“恐れ”はありますが、それも遠からず“虚無”に飲み込まれてしまうのでは・・・と予想してしまいます。

本作最大の謎が解けたことで、彼女たちがなぜ「優也」と共にいたのか。加えて、まるで自分の所有物であるかのように執着してきた理由も分かります。美少女たちに囲まれながらも、主人公の気持ちだけ完全に置き去りで、先の見えない空しさだけが横たわる結末。流血や殺人とは次元の違う恐ろしさを覚えながら、当時の筆者はそっとコントローラーを置きました・・・。

色んなゲームを遊んでいて、「このゲームの主人公になりたいなぁ」と思うことはありますが、優也の立場だけは絶対に勘弁です。他のゲームどころかこの現実すらも、『ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。』と比べると優しい世界です。厳しいこともあるけど、現実世界で頑張ろう・・・!


恐ろしさは、どこにでも潜んでいます。そう、チュートリアルにも・・・

◆ゲーム開始2分でトラウマレベル・・・! 可愛い見た目で心を抉る『夜廻』

衝撃的だったのは間違いありませんが、『ハーレム天国だと思ったらヤンデレ地獄だった。』については、最も大きな“ゾクッ”が結末部分ゆえに細かく語れず、申し訳ないばかりです。そこで最後は、恐ろしさを事細かに語れる『夜廻』を紹介したいと思います。

ただし、人によってはショックを受ける恐れもあるので、その点はご注意ください。特に動物好きの方は、ここでやめておいた方がいいかもしれません。・・・いいですか? 続けますよ?

『夜廻』は、夜の闇に蠢く“得体の知れない恐ろしさ”を描くアクションホラーゲーム。ですが、“ゾクッ”とする点として今回取り上げたいのは、そのホラー部分ではありません。作中でおばけや異質な存在と出会うはるか手前、ゲーム開始からわずか2分で辿り着くシーンについて迫ります。

はぐれてしまった犬と、いつまでも帰ってこない姉を捜すため、夜に沈んだ町へ足を踏み入れる『夜廻』。この物語は、愛犬・ペロとの散歩シーンから始まります。夕暮れ時なのか、世界がほんのり薄暗い中、ポロのリードを引きながら散歩。

この場面はチュートリアルも兼ねており、移動方法やアクションなどを教えてくれます。といっても、操作方法に複雑な点はありません。

ちょっと遠くに、「石」を発見。本編でも活躍してくれるアイテムです。

今は「石」しか持っていないので、選択も石ばかり。

「石」は投げることが出来ます。本編では、一部のおばけの注意を逸らしてくれます。ここでは、ポロが石を取りに行きます。微笑ましい光景ですね。

その後、首輪が外れたリードを引きずり、帰宅する少女。その様子を見て、ポロとはぐれたと察した姉は、夜に染まりつつある町へと一人出かけます。愛犬のポロを見つけに。

そして姉も帰ってこず、少女は姉とポロを捜すため、夜の町を廻ります──。

そうです。ポロと姉が帰って来なくなった原因は、プレイヤーが投げた「石」なのです! ゲーム上で指示されたこととはいえ、投げた石を追いかけたポロが、トラックに・・・こんなに辛いチュートリアルは初めてです・・・。

ホラー要素のある本編は、怖さを増幅する演出もあり、夜の町を歩く心細さをたっぷりと味わえます。ですが、まったく別の“恐ろしさ”が、『夜廻』のチュートリアルに潜んでいました。ちなみに物語の展開もかなり手厳しいので、これからプレイされる方は、心を強く持って挑んで下さい!


(当たり前ですが)怖い作品ばかりじゃない! “本当は怖くない”日本一ソフトウェア作品もご紹介

◆絵柄や物語に惹かれた方は是非プレイを! 『嘘つき姫と盲目王子』

ここまで、“本当は怖い”日本一ソフトウェア特集として3本のゲームを取り上げてきましたが、怖い作品ばかりだと心も疲れてしまいがち。そこで最後に、“本当は怖くない”作品を紹介したいと思います。

“怖い”と一口に言っても、様々な方向性があります。ホラーやスプラッタ的な恐怖もあれば、現実に起こり得るリアリティな怖さ、自身のアイデンティティを失う恐ろしさ、取り返しのつかないことをしてしまった恐怖・・・いずれも忌避したいものばかりです。

そしてゲームを遊ぶ上で、恐れる点のひとつに成り得るのは、物語が迎える結末でしょう。人によって個人差のある部分ですが、悲痛な終わり方をする物語に胸を痛め、その気持ちをしばらく引きずってしまうこともあります。

「それがいい!」と感じる人もいれば、「お話の中だけでも幸せになって欲しい」と願う人がいるのもまた事実。そこで今回の特集の締めくくりに、“本当は怖くない”作品として、後者の方々にお勧めしたい『嘘つき姫と盲目王子』をピックアップします。

狼に似た人食いの化け物は、素晴らしい歌声の持ち主でもありました。その歌声に聞き惚れた小国の幼い王子と、気まぐれで彼を殺さなかった狼との、歌声だけが繋ぐひとときが幾晩も続きます。しかしある日、歌声の主に一目会いたいと願った王子の行動で、ふたりの物語が大きく動き出すことに。

自分の正体を知られたくなかった狼は、反射的に自分の手を王子に向け、その手についた凶悪なかぎ爪で王子の顔を引き裂いてしまいます。

顔に傷を負い、視力を失った王子は、城の塔へと幽閉。全ては自分のせいだと悔やんだ狼は、素晴らしい歌声と引き換えに「姫」の姿を手に入れ、王子の元へ向かいます。どんな望みも叶えてくれる「魔女」の元へ連れていき、彼の目を治すために。

こうして、自分が光を奪った狼であることを隠した「姫」と、幼い盲目の「王子」の冒険が始まります──これが、『嘘つき姫と盲目王子』の幕開けです。ゲーム慣れしたユーザーならば「どう考えても、このまま終わるわけがない!」と思うはず。筆者も同じ印象を受けましたし、実際にこの“切なくも身勝手な嘘”は、隠したままではいられません。

そのため、本作に興味が湧いても「悲しい結末が待っているのでは・・・」と、プレイを躊躇ってしまう方もいるのではないでしょうか。ここで経緯や結末を詳しく語るのは、野暮もいいところなので、具体的な話は伏せておきます。ですが、この一言だけを、力強くお届けしたいと思います。

これ以上はプレイの楽しみを奪ってしまうので、どうかこの“安心”だけを受け取ってください。そして、『嘘つき姫と盲目王子』のプレイを尻込みしていた方は、今からでも是非プレイを。本作の雰囲気に惹かれた人なら、決して裏切らない内容になっていると思います!


想像もしない角度から“怖さ”を突きつけてくる作品から、「大丈夫!」と太鼓判を押したいものまで、日本一ソフトウェアがリリースする作品は多様性に満ちています。

そんな同社の最新作となる『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』は、果たしてどんなゲームなのか。トリコの行く末が気にもなり、恐ろしくもあり。今回もビクビクしながら、遊んでみたいと思います。日本一ソフトウェアのゲームは油断できない・・・!


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