経済同友会「日本版ライドシェア」実現を提言 自家用車を一部の時間帯・地域において活用

経済同友会は1月22日、「日本版ライドシェア」の実現を求める提言を発表した。近年、訪日外国人観光客の増加、高齢ドライバーの運転免許返納等が進展する中、地域内の移動手段の確保は喫緊の課題だ。「日本版ライドシェア」は、配車アプリの利用を前提とし、タクシー事業者が第一種運転免許保有者および自家用車を「一時的にタクシー需要が増大する通勤時間帯・悪天候等」「恒常的にタクシー供給が不足する地域において、需給バランスを崩さない範囲」限定に活用することで、供給不足の解決などに貢献する。

日本においてライドシェアは、運転技術が未熟なタクシー運転者の増加や、運行管理、車両の整備等が不十分なケースがあることから、交通事故の増加が危惧されている。また、既存の交通事業者の経営圧迫などの要因もあり、政府や業界では後ろ向きな意見が多い。

「日本版ライドシェア」では、安全運行を第一とするタクシー事業者が運行主体となるため、ドライバーの研修・検査および車両の点検・管理等に責任を持つことで、安心・安全を担保することができ、また、情報通信技術を用いた相互評価制度や顔認証制度等を導入によりサービスの質向上を図れると考える。一般ドライバーによる運行も需要が供給を上回る時間帯限定で認めるため、供給過剰の状態が継続することがないほか、ドライバーにとっても有償旅客運送はあくまで副業にとどまるとし、既存事業者への影響も及ぼさない考えだ。

「日本版ライドシェア」は、タクシーの供給不足解決のほか、リアルデータの収集、データに基づいた交通政策論議の促進や、働き方の多様化を踏まえた副業・兼業機会の提供も目的とする。

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