米軍根岸住宅内の日本人住民訴訟、横浜地裁で結審 原告「生活翻弄された」3月13日判決

米軍根岸住宅地区

 横浜市の米軍根岸住宅地区内にある飛び地状の民有地で長年暮らしてきた夫妻が、日常生活が不当に制限されているとして、国に約1億1500万円の損害賠償を求めた訴訟は24日、横浜地裁(長谷川浩二裁判長)で結審した。判決は3月13日。

 24日の口頭弁論では、双方が最終準備書面を提出した。原告側は米軍施設内に自宅があることで、地区外への通行の制約や、自宅の新築工事ができないといった土地利用の制限も受けていると主張。代理人弁護士は最終弁論で「交通や財産権など制約を受け、人権の空白地帯となっている」と述べ、救済の必要性を強調した。国側は改めて請求棄却を求めた。

 訴えによると、夫妻の居住地は妻の祖父が1936年に取得。終戦後、連合国軍総司令部(GHQ)に周辺が接収された際に経緯は不明だが、祖父の土地が接収地に囲まれる形で取り残された。同地区と外部の出入りは米軍管理のゲ-トに限定されており、通過には米軍発行の通行証が必要で、宅配便などの業者の出入りも制限されてきたとしている。

 閉廷後、原告の夫は「これまでずっと生活が翻弄(ほんろう)されてきた。被害に対する裁判所の考え方を明確に示してもらいたい」と語った。

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