【相模原殺傷公判】被告、襲撃決意は措置入院時 初の被告人質問「社会の役に立つと」

公判の傍聴券を求めてできた行列=24日朝、横浜市中区

 相模原市緑区の神奈川県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者と職員計45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告(30)の裁判員裁判の第8回公判が24日、横浜地裁(青沼潔裁判長)であり、初の被告人質問が行われた。被告は動機について「意思疎通を取れない人間は安楽死させるべき。障害者を殺すことが社会の役に立つことだと思った」と持論を展開。精神障害による強制的な入院時(措置入院)に襲撃を決意したことを明らかにした。

 傍聴した被害者家族からは「支離滅裂な話ばかりで、怒りを通り越してあきれた」などと非難する声が上がった。

 被告は重度障害者と安楽死の関係について、弁護人に問われると「重度障害者は国から支給されたお金で生活しており、安楽死させなければ国が借金を返せなくなる」などと改めて独善的な考えを主張した。

 16年2~3月の措置入院中、医師や看護師に障害者の安楽死について同様の発言を繰り返したといい、「明確に否定されなかったので、一理あると感じてもらえたと思った。そこで考えが深まっていった」と振り返り、「必要だと考えていた親の同意もいらないと考えた」と動機が固まった経緯を回顧。夜間に侵入し、刃物で殺傷する手法も入院中に計画していたことを明かした。

 トイレと監視カメラしかない部屋での生活に不安を感じていたともいい、「礼儀正しく、安楽死に関する発言をしないようにした」と説明。持論を隠して過ごしたことで徐々に制限が軽くなり、退院につながったとの見方を示した。

 措置入院は、衆院議長宛てに犯行予告の手紙を同年2月に送り、警察や行政が知るところとなったことがきっかけとなった。被告は「国の許可はもらえなかったが、正しいことなので自分でやるべきだと思った」と正当性を主張。7月26日に事件を起こしたが「たまたま。たらたらしたくないと思った」と語った。

 襲撃時の状況については、入所者が話せるか職員に確認していたことに加え、「しゃべれない人は荷物がなかったりするので、雰囲気でわかることもある」と園職員時の経験から殺害する入所者を選んでいたと指摘。「できるだけたくさん殺害しようとした。しゃべれない人は全員殺害しようと思った」と当時の心境を述べた。

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