ル・マン、デイトナの相互参戦が可能に。ACOとIMSA、最高峰カテゴリー統合の合意発表

 ACOフランス西部自動車クラブと、IMSA国際モータースポーツ協会は1月24日、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイでカンファレンスを実施し、WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権というふたつの耐久シリーズにおける最高峰カテゴリーの統合プラットフォームを採用することで、共通の未来に向けた合意に達したと発表した。

 1月23日に開幕した2020年デイトナ24時間のレースウイーク中に発表された今回の歴史的合意では、WEC/ル・マン24時間とIMSAシリーズを統括するふたつの組織が採用することになる、将来の共通プラットフォームの指針の原則が明らかになった。

『LMDh(ル・マン・デイトナ・h)』と名付けられた、新しい最高カテゴリーのプラットフォームは多くの自動車メーカーの要望に応えることになる。メーカーはル・マン24時間やデイトナ24時間をはじめ、スーパーセブリング、スパ・フランコルシャン、プチ・ル・マンなどで、同じ規格のプロトタイプカーと競争するチャンスを得ることになるのだ。

 これに伴いACOとIMSAは、新しいLMDhカテゴリーを管理するための統合規則の基盤を確立。WECではLMHル・マン・ハイパーカー規定の2シーズン目となる2021年9月から、北米のIMSAでは2022年1月の新シーズンから、メーカーがLMDhモデルを用いてふたつの主要耐久レースシリーズに参戦できるようにすることを目指すとしている。

 今回明らかにされたLMDhについては、フランスとアメリカのふたつの機関がそれぞれが準備してきた次世代トップカテゴリーの要素、つまりACOのLMHおよびIMSAの“DPi 2.0”の構想に触発されたものであるとされた。

 実質的に次世代DPi規定を置き換えることになるLMDhは、現在のLMP2コンストラクター4社、ダラーラ、リジェ、ライリー/マルチマチック、オレカのシャシーで構築される。このシャシーは2022年からの次世代LMP2クラスでも使用されるものだ。

 車両のシルエットとデザインはエンジンを供給するメーカーのブランドイメージに沿って開発することが可能に。また、後輪を駆動させるKERSシステムを用いたハイブリッドシステムを搭載するハイブリッドカーとなることも合わせてアナウンスされた。
 
 なお、LMDh車両の技術的な詳細は3月18~22日にセブリングで行われる、両シリーズのダブルヘッダーラウンド“スーパーセブリング”でプレゼンテーションが行われる予定だ。

 カンファレンスで登壇したACOのピエール・フィヨン会長は、今回の発表が「ACOとIMSAの両組織がサポートする耐久レースの未来に向けた需要な出発点」であると語った。

「このプラットフォームはふたつの組織によって達成された規則の収束を示すものであり、将来の耐久レースにおいて大きな成功事例になると信じている」

 IMSAのジム・フランス会長は「父、ビル・フランス・シニアが1962年にここデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで最初のデイトナ・コンチネンタル・スポーツカーレースを開催したとき、彼は世界中のスポーツカーのドライバー、チーム、メーカーを集めたかったのだ。ACO、IMSA、およびメーカーの協力によって実現した本日の発表は、父のビジョンを次のレベルへと進める誇らしいものだ」とコメント。
 
 また、WECのジェラール・ヌーブCEOは、両組織のビジョンと協調の精神は祝福されるべきだと語り、「ル・マンやデイトナで一緒にレースをするLMHカーと新しいLMDhカーは、世界中の耐久レースファンにとって信じられないほどエキサイティングなものになるだろう」と続けている。

「世界の最高峰プロトタイプレースに共通プラットフォームを提供することは、認可団体、メーカーそしてもっとも重要なことに、世界中のスポーツカーレースファンにとって長年の目標だった」と語るのは、IMSAの新代表に就任したジョン・ドゥーナンだ。

 彼は「ついにその機会が訪れたことを誇りに思う」と述べた上で「LMDhプラットフォームの導入につながった、ACOとのコラボレーションやオープンな対話に応じてくれたメーカーパートナーに感謝していると」コメントした。

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