WRCモンテカルロ:競技2日目、トヨタがワン・ツー体制構築。王者タナクは高速クラッシュでリタイア

 2020年のWRC世界ラリー選手権第1戦モンテカルロは1月24日、SS3〜8で争われる競技2日目を迎え、セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合首位に浮上。1.2秒差の総合2番手にエルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)が続き、トヨタ勢がワン・ツー体制を築いている。また前年王者のオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)はSS4走行中に高速クラッシュがあり大会全体のリタイアを余儀なくされている。

 フランスとモナコ公国を舞台に開催されている2020年のWRC開幕戦、ラリー・モンテカルロ。競技2日目はSS3〜8の全6SS、走行距離は122.58kmで争われた。

 この日、ライバルを圧倒する速さをみせたのはTOYOTA GAZOO Racing WRT。競技2日目の全6SS中、3SSでエバンスが、2SSでオジエがステージ優勝を飾ってみせた。

エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)

 なかでもSS3〜5でステージ優勝したエバンスはSS3終了時点で総合2番手にふたつポジションを上げると、続くSS4終了時点で3.4秒リードの総合首位に浮上する。

 その後、SS5も制したことでリードを8.9秒まで広げたエバンスだったが、競技2日目後半のSS6〜8ではチームメイトのオジエがペースで優位に。SS7終了時点でもエバンスが2.7秒差で総合首位だったが、SS8でオジエに3.9秒差をつけられてしまい逆転を許した。それでもオジエとは1.2秒差につけており、再逆転の可能性も充分残している。

ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)

 トヨタ2台に続く総合3番手はティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が獲得。ヌービルは一時、総合首位に10.1秒差をつけられていたがSS8で最速タイムを刻み、首位とのギャップを6.4秒まで縮めている。

セバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)
勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)

 総合4番手はセバスチャン・ローブ(ヒュンダイi20クーペWRC)だが、総合3番手ヌービルとは1分0秒5差、総合首位オジエとは1分6秒9の差がついている。総合5番手以下はエサペッカ・ラッピ(フォード・フィエスタWRC)、カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)、勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)と続いた。

 昨年王者で2020年はヒュンダイに移籍してシリーズを戦うタナクは総合4番手で臨んだSS4走行中、スタートから9.2km付近の道幅が広いハイスピードのダウンヒルセクションでクラッシュ。コース脇の斜面を複数回横転する大クラッシュを起こしてしまった。

 クラッシュ直前の中継映像ではタナクは6速全開、時速170km近くで走行していたところバランスを崩し、進行方向右側に広がる斜面へ飛び出している。ハイスピードでコースを飛び出したタナクのi20クーペWRCは地面に激しく激突。その後、マシンは斜面を転がりながら複数回回転してストップした。

 幸い、タナクとコドライバーのマルティン・ヤルヴェオヤは自力でマシンを脱出。その後に検査のため病院へ搬送されたが、ここでも異常なしと診断されている。

 ただし、経過観察のためタナクとヤルヴェオヤは1日だけ病院にとどまらなければならず、競技続行は断念せざるを得なくなった。

 ヒュンダイのチーム代表を務めるアンドレア・アダモは、タナクの無事を伝えるリリースのなかで「なによりも大事なことは、クラッシュのあとオットとマルティンが無事だったこと」と述べている。

「ああいった大クラッシュがあったとき、なによりも優先すべきはクルーのコンディションを確認することだ。激しくクラッシュしたあとに病院で検査を受けるのは通常の手順であり、検査結果も明確だった」

「検査のあともふたりは病院にとどまり経過観察を受けている。これも通常どおりの流れだ。そして、我々はクラッシュの現場から車両を回収し、オット/マルティン組をリタイアさせると決定した」

 2020年のWRC第1戦モンテカルロ、競技3日目となる25日はSS9〜12までの4SSが行われる。

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