パンと味噌汁?!“がんばらずに”野菜たっぷり「ルーベンサンドとキャベツのおみおつけ」

手軽につくれて栄養たっぷり……そんな愛すべきお味噌汁(おみおつけ)と、なんと「パン」という一見突拍子もないような組み合わせのレシピをこれから紹介します。

飽きずに手軽に野菜がとれる食生活を

おいしくて手軽なパン。ただ、パンをメインとした食事は、和食や中華などと違い「野菜がたっぷりとれない」という悩みがついて回りますよね。パンと一緒に食べる野菜といえば、

  • スープ・シチュー
  • サラダ
  • ジュース・スムージー

といったものになるかと思います。

手軽につくれるスープといえば、カップスープでしょうか。しかしこれは、ジャガイモやトウモロコシがメインで、緑黄色野菜を採るという意味では物足りないです。シチューであれば野菜たっぷりのものが多いのですが、つくる手間がけっこうかかります。また多めにつくって、連日ミネストローネやホワイトシチューというのも飽きてしまいます。サラダも見た目の割りに、実はたくさんの量の野菜はとれません。

仕事帰りにパンを買って、翌朝さっと野菜たっぷりの食卓を提供できたら、という理想をかなえるのが、この「パンにあう、お味噌汁」レシピです。レシピで悩む負担を減らし、毎日の調理の時間を短縮し、野菜がたっぷりとれて、おいしいレシピを紹介します。

パンとお味噌汁を一緒に食べる関西の人の生活

実はパンとお味噌汁の組み合わせというのは、いわゆる「粉もの」文化度が高い関西では、それほど珍しいことではありません。今回の企画に伴い、京都・大阪・神戸の知人にインタビューしたところ「ウチの朝はいつもパンとお味噌汁。ぜんぜん普通だと思う」という意見もありました。お味噌はタンパク質、ミネラルが豊富で、しっかりした味でも、塩分のとりすぎになりにくいという長所もあります。

空いた1時間で「下ごしらえ」。1から2週間の食卓が変わる!

レシピからはじまって買いもの、下ごしらえ、分量、品数、見栄えなどなど、お料理のことがんばり「過ぎ」ていませんか?「ムリせずに」「がんばり過ぎずに」料理ができるよう、「合理的」な下ごしらえから、まずレシピを考えました。

このレシピでは空いた時間で「下ごしらえ」をしておいて、冷蔵庫で寝かしたものを使っていきます。下ごしらえは、できるだけ1時間以内で済むように工夫し、その1時間のうちでも、キッチンに立っていなければいけない時間をできるだけ減らせるようにしました。がんばり過ぎずにおいしいパンとお味噌汁の組み合わせを一緒につくりましょう。

ルーベンサンドとキャベツ・豆腐・玉子のおみおつけ

酸味のきいたどっしりとしたうまみと香ばしい風味のループがたまらない。

三種類の具を入れたシンプルなおみおつけです。キャベツや豆腐を焦がすことで風味が増します。最後に添える、すだちがさらにおいしさを引き立てます。

先に仕込んで、手早く調理(仕込み時間目安:5分)

ルーベンサンドの具材、ザワークラウト・ランチョンミート・シュレッドチーズをそれぞれ同量混ぜあわせてファスナー付きのビニール袋に入れて、冷蔵しておけば3日ほど、冷凍すれば2週間ほど保存ができます。冷凍保存した場合は、調理の前に電子レンジで解凍しておいてくださいね。

おみおつけのレシピ(調理時間目安:8分)

ルーベンサンドのレシピ(調理時間目安:6分)

ライ麦パンにルーベンサンドの具材をのせて、チーズがしっかり溶けるまでトーストします。

直前にすだちをふりかけて、いただきます!キャベツとお味噌のほのかな甘み、すだちの爽やかな香り、ルーベンサンドの酸味がとてもよく合います。

材料をそろえて本格的に
今回紹介したレシピは、手に入りやすい材料で代用しました。本格的なルーベンサンドをつくりたいときは、ランチョンミートをビーフパストラミやコーンドビーフ(コンビーフとは違います)に、シュレッドチーズをグリュイエールチーズにします。

【コラム】「おみそしる」? それとも「おみおつけ」?

立ちのぼる湯気が朝の日射しにキラキラ光る、葉物野菜の緑と少し濁った薄茶のコントラストが美しい、すーっと吸い込みたくなるやさしい香り。そう、あのスープのことをみなさんは、なんて呼んでいますか?「おみそしる」? それとも「おみおつけ」?

「おみそしる」と「おみおつけ」実は、この呼び名について、レシピ担当の私と、一緒にこの企画を進めている編集担当者と、少々意見が違ったのです。

私の郷里は、九州は筑前、古処という山の麓にあるかつての小さな宿場町。その名残か、小さいころから近所には、味噌屋や麹屋、豆腐屋などがあって、大豆や麹のやさしい香りをいつも身近に感じていました。

一方で私の母は、東京の生まれ育ち、そのまた母方は関西に出自をもっていて、ものの呼び名がいちいちどうにも古い。江戸中期から明治のはじめごろまで料亭を営んでいた影響もあってか、とくに食べ物の呼び方に対して、母は不思議なこだわりをもっていました。

そういうわけでしょうか、小さいころから「おみおつけ」という言葉に慣れ親しんできた私には、「おみそしる」という言葉がどうもピンとこないのです。

「おみおつけ」には、「御御御つけ」と、「つけ」の上に「御」を三段も重ねたとする、宇宙ロケットのような説と、「お味噌」を意味する「おみ」に「おつけ」が足されたとする説があるようで、私はどちらかというと日本国語大辞典に載っている後者の説を支持しています。ですからこの記事のタイトル「お味噌汁」とは書いてありますが、私は心の中で「おみおつけ」と呼んでいます。「おみおつけ」と心の中で繰り返し唱えていると、ほらなんだか幸せなやさしい気持ちがこみ上げてきて、「おみおつけ」がより愛おしくなってきませんか? あら、きませんか。

どんなふうに書いても、どんな呼び方をしても、おみおつけがおいしいことになんの変わりもありませんから、どうぞみなさんがいちばんおいしいと思う呼び方で、「お味噌汁」の名を呼んであげてください。

© Valed.press