市民団体「小浜ば花いっぱいにすうで」 街に彩り添え25年

談笑しながら花を植える城谷さん(左)=雲仙市、小浜マリンパーク

 長崎県雲仙市小浜町で花を植える活動をしている市民団体「小浜ば花いっぱいにすうで」の取り組みが25年目を迎えた。旅館や商店など協力事業所の軒先、公園など約30カ所を四季折々の花で彩り、住民や観光客らを楽しませている。代表の城谷雅司さん(49)は「自分たちでできることをコツコツやってきたが、長く続いたもんやね」と笑う。
 城谷さんは1996年、家業の木工所を継ぐため、大阪の証券会社を退職し帰郷。戻って早々「何かしようで」と地元の同級生らに呼び掛け、まちづくりと異業種交流を兼ねた同団体を発足させた。
 町内約30カ所に置いた計約120個のたるに、約2カ月おきに花を植え替えていく。春はキンギョソウ、夏はサルビア、アメリカンブルー、秋はベゴニアなど季節によって種類を変え、街に彩りを添える。協力事業所から集める会費が運営資金だ。
 現在のメンバーは12人。作業ではこのうち、5人程度が早朝に集まり、約2時間、軽トラックで計約500本の花を植え替えて回る。メンバーの一人は「起きるのがつらいが、花に癒やされている」と満足そう。
 城谷さんは「協力事業所と朝から集まってくれるメンバーのおかげ」と感謝を口にする。発足当初、50以上あった協力事業所は25年のうちに閉店などで25カ所に減った。「黙っていたらどんどん寂れていく。やれることをやるだけ」。目下の悩みは早朝メンバーに若手が少ないことという。
 「60歳までは付き合ってもらうばい」。作業中、城谷さんがメンバーに声を掛けた。笑って返す仲間につられるように、植え替えたばかりの白い花が小さく揺れていた。

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