代表対決制した丹羽孝希 徹底した“森薗封じ”に注目<KM東京vs岡山>

写真:丹羽孝希木下マイスター東京)/撮影:ラリーズ編集部

Tリーグの見逃せない名勝負をラリーズ編集部独自の視点で解説する【T.LEAGUE 名場面解説】。今回は1月25日のノジマTリーグ・木下マイスター東京(以下、KM東京)VS琉球アスティーダ(以下、琉球)の一戦から、第3マッチの丹羽孝希と森薗政崇の試合にスポットライトを当てる。

世界卓球2020の代表メンバー同士の戦いとなったこの試合。丹羽は昨年熾烈な五輪争いを勝ち抜き、シングルス代表の座を手中に収めた。Tリーグではシングルス・ダブルスともに要所で勝ち星を挙げ、チームの首位に貢献している。今回の相手である森薗に対しても昨年末に勝利をあげている。

対する森薗は昨年12月のジャパントップ12第1ステージ(兼世界選手権代表最終選考会)で優勝し、自らの手で代表の座を射止めた。Tリーグでは1stシーズンに引き続き岡山の主力としてシングルス・ダブルスともに10試合以上に出場。チキータを得意とし、レシーブでの得点が多い選手だ。

注目のサウスポー対決は丹羽が3-1で勝利し、KM東京の勝利を決定づけた。勝負の決め手となったのは丹羽の”森園封じ”とも言える戦略だ。

木下マイスター東京 対 琉球アスティーダ:丹羽孝希VS森薗政崇

詳細スコア
○丹羽孝希 3-1 森薗政崇
11-5/11-8/10-11/11-10

1.コースをつく早い打点のバックハンド

図:丹羽のバックでのコース取り/作成:ラリーズ編集部

丹羽は早い打点のバックハンドでコースをつく戦術をとった。1ゲーム目の1本目からいきなりバックストレートで森薗のフォアを狙って得点し、強い印象を与えた。コース取りはもちろんだが、打点が早いことで相手コートへ到達する時間も短くなり、反応が間に合わなくなる。フットワークを生かしたフォアハンドが強みの森薗は、フォア側を警戒して、回り込みを控えざるを得なくなった。

余裕を持ってバック対バックで勝負したり、ミドルやフォアへ振り分けたりと、終始丹羽のバックからの展開は丹羽有利だった。序盤から積極的にプレッシャーをかけ、相手の思うようにさせないという丹羽の戦術は最後まで響いた。

2.チキータ封じのサーブ

図:丹羽のサーブイメージ/作成:ラリーズ編集部

森薗の代名詞としてチキータでのレシーブがあるが、丹羽はそのチキータを封じるようなサーブを使った。丹羽のサーブはインパクトの直前まで、順横回転と逆横回転のどちらを出してくるか非常にわかりづらい。チキータはラケットの面が重要となるが、うまく面が作れないままレシーブしなくてはいけないというわけだ。

この状況でチキータを狙いに行くには、コースと回転を読み切らなければならず、リスクが大きい。また、ロングサーブへの対応が難しくなる。結果として、森薗は安全なレシーブをせざるを得ない場面が多くなった。

丹羽のサーブ戦術がもっとも如実に現れたのは、2ゲーム目、8-8の場面だ。ここから2本、フォア前とバックロングへの巻き込みサーブで崩して得点し、一気にこのゲームを奪った。これでゲームカウント2-0とし、森薗に大きなプレッシャーを与えることに成功した。

まとめ

世界卓球代表同士ということで、非常にレベルの高い戦いとなったこの試合。経験豊富な丹羽がうまく相手の強みを抑えこんだ形となった。「相手の得意をつぶす」ことの大切さを学ぶことのできる試合だった。

Tリーグも後半戦を迎え、プレーオフに向けて一戦一戦が大事になってくる。2ndシーズン王者に輝くのはどのチームになるのか、目が離せない。

文:ラリーズ編集部

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