「死ぬなよ」「はい……」震災孤児の少女の一人旅『風の電話』 モトーラ世理奈が即興演技で覚醒!

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『風の電話』© 2020映画「風の電話」製作委員会

天国に繋がる電話とは?「お父さん、お母さん、会いたいよ……」

ハルは東日本大震災で家族を失い、広島で叔母と二人暮らしをしている女子高生。無口な彼女は家族を失うという悲劇をただ黙って受け入れて生きてきたが、叔母が倒れたことをきっかけに、ヒッチハイクで生まれ故郷・岩手県大槌町に帰ることを決意する。

『風の電話』© 2020映画「風の電話」製作委員会

女子高生が制服でヒッチハイクをする。これだけでどれほど危険か、どれだけ彼女が危険を覚悟の上で行動を起こしているかお分かりいただけるだろう。食事やお金を与え心配してくれる優しい大人ももちろんいるが、深夜に声をかける悪い奴もいる。原爆の記憶を語る老婆、その老婆をひとり介護する息子、出産を控えた臨月のシングルマザー。ヒッチハイクでの様々な出会いが、少女を大きく成長させてゆく。

『風の電話』© 2020映画「風の電話」製作委員会

やがて彼女は、震災で妻と子を亡くし車で日本各地を転々としている森尾(西島秀俊)と出会い、彼の故郷・福島を経由して大槌町へとたどり着くのだった……。

『風の電話』© 2020映画「風の電話」製作委員会

初々しいモトーラ世理奈を支える西田敏行、西島秀俊、三浦友和ら豪華共演陣!

そんなハルの旅を支えるのが、西田敏行、西島秀俊、三浦友和といった名優たちだ。広島弁の三浦友和、福島弁の西田敏行・西島秀俊は、言葉もしぐさも地元になじんでいて全く違和感がない。

『風の電話』© 2020映画「風の電話」製作委員会

特に福島県出身の西田敏行は、諏訪敦彦監督が東日本大震災の悲劇を伝える語り部として位置づけただけあって、もう決して元には戻らない故郷の現状を涙ながらに訴える姿に、胸を締め付けられる。東日本大震災から9年、諏訪敦彦監督が描く東北の現実は想像以上に厳しいものだった。

ラスト10分は完全なアドリブ撮影! そこでモトーラ世理奈は何を語ったのか

『風の電話』© 2020映画「風の電話」製作委員会

そして本作の最大の見どころは、ハルを演じるモトーラ世理奈の素晴らしい演技だろう。彼女の泣き声は演じるハルというよりも、モトーラ世理奈の心からの叫びのように聞こえてくる。本作のラストシーンは大槌町に実在する、亡くなった人と話すために作られた電話ボックス「風の電話」でハルが家族に語りかけるシーンなのだが、シナリオ無しの即興演出で知られる諏訪敦彦監督は、この重要な場面を新人のモトーラに託したという。そして彼女は監督の期待に見事に応え、この名シーンを演じ切ってみせた。大女優の誕生を予感させるクライマックスは必見だ。

『風の電話』© 2020映画「風の電話」製作委員会

家族を失っただけでなく、自分を育ててくれた叔母も失うかもしれない状況にある少女が、“亡くなった人と話せる”電話ボックスで何を語るのか。10回目の3.11を迎える2020年、今こそ劇場でハル=モトーラ世理奈の旅を見届けてほしい。

『風の電話』© 2020映画「風の電話」製作委員会

『風の電話』は2020年1月24日(金)より全国ロードショー