旅行規制「どこまで」 新型肺炎拡大 戸惑いや長期化憂慮

感染への注意を呼び掛けるため、長崎ランタンフェスティバルの総合案内所前に張り出されたボード=長崎市新地町

 中国政府が新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を防ぐため、27日から海外への団体旅行などの停止に踏み切る。春節(旧正月)の訪日客に期待していた長崎県内の観光、商店街関係者からは「やむを得ない」との声の一方で、戸惑いや長期化への懸念も広がった。

 長崎県へのクルーズ船寄港数は2018年実績で337回。長崎港は220回を占めた。長崎市によると、このうち180回が中国発着のクルーズで、乗客数ベースで見ると、約70万人中63万人が中国からの観光客だったという。長崎市観光推進課の担当者は「中国人観光客が大きなウエートを占める。今後、どこまで制限されるのか」と不安を隠せない。ウイルスの影響かは不明だが、27日の寄港はキャンセルになったという。
 例年、春節期間中に多くの中国人観光客が訪れる佐世保市のハウステンボスは「楽しみにしていただいたのに残念。流行が落ち着くまで静観したい」。させぼ四ケ町商店街協同組合は中国人観光客に対応できるよう、各店舗にクレジットカードや電子決済の導入を促し、アーケード内には店舗紹介や観光パンフレットを設置してきた。川尻章稔理事長は「中国政府は思い切ったことをした。生命の危機を伴うので規制はやむを得ない」としつつも、「商いには打撃。想像以上に重症化しており不安」と本音を漏らす。
 一方、雲仙温泉観光協会(雲仙市)の荒木正和事務局長は「今のところ影響はないが、近年、香港から団体客が数多く訪れている。規制が長期化するのが怖い」と地域経済への影響に気をもんでいる。

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