千羽鶴をポストカードに再利用 「平和発信に使って」 ランフェスに合わせ販売

谷口さんが完成させたピースレター。折り鶴のチップでできた色とりどりのモザイク模様が特徴

 創業以来300年以上の歴史を誇る佐賀市の和紙工房「名尾手すき和紙」7代目の谷口弦さん(29)が、全国から長崎原爆資料館(長崎市平野町)に寄せられた千羽鶴を再利用してポストカード「ピースレター」を作った。「全国や世界に平和の思いを発信するために使ってほしい」と願っている。

 谷口さんは昨年末、地域活性化に取り組む一般社団法人「金富良舎」(東彼波佐見町)の打診を受け、初めて折り鶴を原料としたポストカード作りに挑戦。段ボール1箱分の千羽鶴を細かく裁断してチップ状にし、和紙の原料となる樹木カジノキと混ぜ合わせ、計400枚を作った。
 工房5代目の祖父(故人)から、爆心地から遠く離れた佐賀市の工房でも「原爆のきのこ雲が見えた」と聞いた。小学6年の時には修学旅行で長崎を訪れ、千羽鶴を折って同資料館に寄贈した。
 「少年時代から原爆は人ごとではなく、考える機会が多かった」と振り返る。今年は被爆75年。「被爆者は年々亡くなっている。平和への思いが薄れている」と心配している思いをポストカードに込めた。
 より多くの人の手に取ってもらおうと、長崎ランタンフェスティバルに合わせて25日から、長崎市のホテルJALシティ長崎(新地町)▽稲佐山観光ホテル(曙町)▽まちぶら案内所もてなしや1号店(魚の町)▽県美術館(出島町)で計100枚を販売している。価格は1枚660円。
 谷口さんは「千羽鶴に込められた平和の思いをポストカードとして長崎に返すことができた。多くの人に平和について考えてもらうきっかけになれば」と期待を口にした。

「ピースレターをたくさんの人に手に取ってほしい」と語る谷口さん=長崎市、ホテルJALシティ長崎

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