クレジットカード不正利用被害、補償されず16%。規約手続き怠ったため

 消費者決済におけるキャッシュレス化が進んでいる。しかし、日本では諸外国に比べキャッシュレス化の歩みは遅いと言われている。日本でキャッシュレス化が進まない要因には消費者がキャッシュレス化に慎重であるからだ。慎重である理由は、一つには不正利用などセキュリティへの信頼の低さと使い過ぎをしてしまうのではないかという懸念にあると言われている。

 カード会社ではAI等を駆使し不正利用を未然に防ぐなど高いセキュリティを維持しようと努力している。そのような万全のセキュリティがあっても不正利用を皆無にすることは不可能だ。不正利用が起きてしまってからの消費者の対応も被害を最小化するために重要である。

 三井住友カードがクレジットカードの不正利用被害にあった全国の20歳以上の男女500名に対しアンケート調査を昨年10月に実施し、その結果を23日に公表している。

 調査結果によれば、不正利用の手口で一番多かったのは「フィッシング詐欺」で23.1%、次いでカードの名義人になりすました第三者が不正利用する「なりすまし」20.0%、「ネットショッピング詐欺」が19.0%の順となっている。

 クレジットカードの不正利用が発覚したタイミングについては、「カード会社からの連絡時」が35.4%と最多で、次いで「明細書確認時」が24.8%、「口座から引き落とされた時」13.6%、「利用通知サービス確認時」13.4%の順となっており、不正利用に自分で気づいたのは5割強となる。

 クレジットカードの不正利用は会員規約で「補償される」となっているが、被害が「補償された」と答えた者の割合は83.6%で、16.4%の者は「補償されなかった」と回答している。補償されなかった理由については、「警察に被害届を出さなかった」が37.8%、「長期間カード会社に連絡しなかった」30.5%、「カードの裏面に署名をしていなかった」13.4%などで、会員規約に定める必要な手続きや行動を行わなかったケースのようだ。また、不正利用額が1000円未満のケースもあり被害額が少額であったため手続を行わなかったということも推測される。

 カード裏面の署名を怠らず、利用明細をこまめに確認し不正利用を早期に認識するとともに、被害にあってしまったら「カード会社への相談」、「警察に被害届」など規約に沿った行動をしっかり行うことが重要だ。(編集担当:久保田雄城)

三井住友カードがクレジットカード不正利用被害について調査。

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