北欧ツーリングカー『STCC』戦うPWRレーシング、TCRの強豪クプラとのパートナーシップ延長

 セアトの高性能車部門であり、モータースポーツ活動も担当するクプラ・レーシングとセアト・スウェーデンは、TCRスカンジナビアことSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権に参戦する公式パートナー、PWRレーシングとの契約延長を発表。2022年まで同シリーズでの提携関係を続けることとなった。

 STCCを主戦場に、2019年はWTCR世界ツーリングカー・カップへの挑戦も開始したPWRレーシングは、長らく蜜月関係にあるクプラ・レーシングとのパートナーシップ継続を確認し、すでにラウンチが秒読みに入っている新型TCRモデルや、それぞれが協力関係の元に独自開発を進めるEVツーリングカーでのアライアンスも視野に入れた、包括的な協力体制を続けていくとアナウンスした。

「私たちセアトとクプラの一同は、こうしてPWRレーシングの面々と一緒に旅を続けられることを非常に喜んでいる」と、ステートメント上でコメントを発表したのは、クプラとセアト・スウェーデンのブランドマネージャーを務めるパー・ブリンケンベルグ。

「我々が2016年より開始したこの強力なパートナーシップのプログラムは、スウェーデン国内でのセアト、そしてクプラのプレゼンス向上に重要な役割を果たした。この期間中、セアトは市場規模で大きく発展を遂げ、シェアは100%を超える水準で増加を続けている」

 すでにPWRレーシングは、2020年シーズンに向け新型『クプラ・レオン・コンペティションTCR』をオーダー済みで、現行のクプラTCRに代替される計画だという。

 とくにPWRレーシング・セアト・ディーラーチームとしてエントリーする地元シリーズのSTCCでは、セアトとの提携以降にロバート・ダールグレンが2度のドライバーズタイトルを獲得。2018年にはチームタイトルも手にしている。

 一方、STCCのシリーズオーガナイザーは2020年から参戦コスト削減策の一環として、26歳以上のドライバーを対象に、2012年度以来の『インディペンデント・カップ』を復活させることを発表した。

STCCでは、CUPRAのトップカスタマーチームとして戦ってきたPWRレーシング
ボルボのファクトリードライバーを経てPWRに移籍後、2017年、2019年とSTCCを制したロバート・ダールグレン

 これは登録から3年以上が経過した車両のみに参加資格が与えられるもので、各週末に使用可能なタイヤセット本数に制限が加えられるとともに、スウェーデン国内戦のみにポイント対象ラウンドを絞ることで、エントリーコストを抑制する狙いが込められている。

「我々は、限られたビッグチームだけにSTCC参戦の機会を与えるのが仕事ではない。シリーズとしての野望は、トップレベルへの第一歩を踏み出すことができるように、このスポーツに初めて参加する人々や、その他のバックグラウンドを持つチームにも広く門戸を開き、強力なプラットフォームを提供することなんだ」と説明する、STCCマネージングディレクターのミュッケ・ベルン。

「実は私も、かつて10年ほど前にインディペンデント・カップの制度を利用してレースを戦った経験がある。これはSTCC進出を果たすための最高の足がかりになったんだ。ビッグチームはつねに、戦績の優れたプライベーターの動向に注目している。我々は、その環境をSTCCにふたたび取り戻したいと考えているんだ」

 2020年でTCR規定導入から4シーズン目を迎えるものの、未だ過渡期の状況が続くSTCC。参戦チームの状況も少しづつ明らかになってきており、カヤード・レーシングは同国のV8サンダーカーズ・スウェーデン王者エミール・パーソンと、同選手権2位のミカエル・カールソンを含むフォルクス・ワーゲン・ゴルフGTI TCRの3台体制でエントリーすると発表。

 そして2019年チーム王者のブリンク・モータースポーツは、オーナードライバーのトビアス・ブリンク、アンドレアス・ウェルナーソンに加え、17歳のハンス・モーリンとの契約延長をアナウンス。しかし、アウディRS3 LMSについては、グループの“内燃機関カテゴリーからの完全撤退”方針を受け、マニュファクチャラー変更の可能性を模索している。

Brink Motorsportは、17歳のハンス・モーリン(左)と契約延長。引き続き3台体制でのエントリーに
アウディからのスイッチを模索するBrinkに対し、Kågered Racing(右)は引き続きVWを投入する

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