又吉直樹「一行目を読むころには、喉がカラカラ(笑)」『二子玉川 本屋博』PRイベント開催!

本屋博実行委員会は、 40 の個性あふれる本屋が一堂に会し、 本屋の魅力と可能性を発信するフェス『二子玉川 本屋博』を、 1 月 31 日(金)、 2 月 1 日(土)に二子玉川ライズガレリアにて開催される。 このたび、 本イベントの初開催にあたり、 1月 27 日(月)に二子玉川 蔦屋家電にて、 お笑い芸人でありながら芥川賞受賞作家であり、 2019 年 10月には初の長編小説『人間』を発売された又吉直樹さんをゲストにお迎えしたPR イベントが開催された。

PR イベントでは、 作家インタビューや書評を多く手掛けているライターの瀧井朝世様をファシリテーターに迎え、 本屋博実行委員長である二子玉川 蔦屋家電 人文コンシェルジュ・北田博充と共に、 又吉さんの本屋への想いや、 本屋の魅力、 書き手としての本屋の見方など、 「本屋」にまつわる様々なお話を伺った。

まず当イベントのメインである本屋博について、 又吉さんは「もともと行くつもりでした」とすでに興味があった様子で、 「出版不況など業界としてネガティブな話題が多い中で、 本も書店も面白いことを起こしていこうという前向きな活動がすごく好きです。 このイベントのようにみんなが集まって、 “本が面白い”ということで盛り上がっていこうとする試みは、 一読者であり本屋が好きな人間としてもすごく嬉しいです」と出版業界全体が一丸となって業界を盛り上げていくことの重要さをお話。

また、 今回出店する書店については「行ったことのある本屋さんがいっぱいあります。 中でもブBOOK TRUCKさんとVALUE BOOKSさんみたいに、 バスに本が載っているのがすごく好きで。 子供のころに、 町の総合センターに本をいっぱい積んで来てくれた移動図書館がすごく好きです。 僕もいつか移動式の本屋をやってみたい。 運転して本を積んでいきたいのですが、 まず免許取らなくちゃいけないんです…。 ちょっと時間もかかりますが(笑)」とご自身の夢をお話する一幕も。

またご自身の読書について問われると、 又吉さんは「モノとしての本も好きなので。 重さや装丁や見開きをじっくり見て、 例えば、 見開きが青だったら『空から始まるのか、 海から始まるのかな?』とかと思いながらページを開いて、 奥付で誰がデザインしたのかを見て、 そしてやっと一行目に至る…その頃にはめちゃくちゃ興奮していてのどが乾ききっている状態ですね(笑)。 その感覚は段々と増してきていて、 本屋さんにしたら迷惑だと思うんですけど、 好きな作家さんの新刊が出る前日に本屋さんに電話して『何かの間違いで入荷されてませんよね?』と聞いてしまう(笑)。 CDとかは前日においてあることもありますが、 本では一斉発売ないので、 今日は読めないと確認して明日になったら読める!っと思うところから、 僕の読書は始まっているのです。 『一番この本を楽しんで味わってやろう、 この本の最大のパフォーマンスを引き出すんだ!』という、 値段の元を取ろうというセコい考えではなく、 本当に楽しむぞという気持ちで本を開いています」と並々ならぬ読書への思いをコメント。

本屋博実行委員長の北田も「行く前も含めて、 本屋に行く体験が楽しい。 その体験こそがいいなという。 本屋博もそんな体験を感じられる場にしたいなと思います」と意気込みを語った。

そしてイベント終盤に、 話題は「本屋の未来について」へ。 自身も書店員として働く北田は本屋の魅力について、 「一周回って“人の魅力”かなと。 ネット書店で目的買いはできるので、 リアルな書店は人ありきだと思っています。 人の価値が本屋の価値になる、 そんななお店が増えたらいいなと思います。 だから、 本屋には、 その人めがけて会いに行きたくなるような、 人の魅力が必要なのかなと思います」と話すと、 又吉さんも「それは絶対にあると思いますね」と共感した様子で、 「お酒が好きで色々なバーにも行きますが、 リピートする店とリピートしない店の違いが何かというと同じく人ですね。 それはただ接客が良いとか愛想があるということだけではなく、 どんな音楽をかけているのか、 酒の作り方が遅くても丁寧で好きやなとか、 まったく話しかけてこないとか…(笑)何か自分が惹かれる部分があることだと思います。 それは書店も一緒で、 若いころから『あの人の顔を見ながら本を買いたいな』という気持ちはありました。 昔、 週に3、 4回出番のあった渋谷の劇場近くの大型書店に、 リハと本番の合間に毎日行ってました。 そうすると店員さんが僕がどの作家が好きなのかを覚えてくれて、 「次●●さんの新刊でますよ」みたいにレジで教えてくれるんです。 話すのはレジだけですが、 そんな書店員さんが僕は好きでしたね。 今、 僕と同世代の方がやられている本屋さんも増えてきていますが、 『このお店雰囲気いいな』と思って入ったら、 書店員さんから『もともと●●で働いていました』と話しかけられて再会できるのも嬉しいです。 昔に比べると頻度は落ちましたが、 定期的にちゃんと本屋さん回りたいなと思っていますが、 今回の本屋博のように向こうから来てくれて、 40もの書店が集まってくれると、 本屋さんそれぞれの魅力も感じられて楽しいですよね」と本屋と人の魅力についてお話されイベントをしめくくった。

■『二子玉川 本屋博』
https://store.tsite.jp/futakotamagawa/bookshop-expo/
日本全国の 40 の個性あふれる本屋が一堂に会し、 本屋の魅力と可能性を発信するフェス。 本屋博に出店する本屋は、 この世に二つとない「唯一の本屋」です。 店主の個性は十人十色。 店のコンセプトや品ぞろえだって唯一無二。 本屋博は、 そんな貴い本屋と一度に出会える贅沢なフェスです。 本や本屋が私たちの人生をほんのちょっとだけ豊かなものにしてくれる。 そんなポジティブなメッセージを発信します。

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