マクドナルド、初の「ごはんバーガー」で刺激する夜のオトナ欲求

「あぁー、、、お米たべたい」――。日本マクドナルドの公式Twitterがこう投稿して話題になったのが1月25日。その3日後、コメのバンズを使用した同社初のメニュー「ごはんバーガー」が発表されました。

17時からの時間帯の「夜マック」で、2月5日から期間限定で売り出す新商品です。パンではなくごはんのメニューを採用する背景には、何があるのでしょうか。1月28日に開かれた新商品発表会の内容から探ります。


通常バーガーよりも50円プラス

ごはんバーガーのラインナップは、「ごはんてりやき」(390円、税別、以下同)「ごはんベーコンレタス」(410円)「ごはんチキンフィレオ」(410円)の3種類。通常のパンのバンズを使ったバーガーと比べると、単品価格はそれぞれ50円プラスとなります。

メニューマネジメント部の若菜重昭・上席部長によると、ごはんバンズは国産のコメを使用。一度焼いてから醤油ダレを塗り、さらにもう一度焼くという工程で生産します。

「香ばしく、バーガーの具材に負けない深い味わいに仕上げた。お店で注文を受けてからバンズをスチームするので、おいしさが引き立つ」と、若菜上席部長は自信たっぷりに語ります。

既存のバーガーですべての組み合わせを試し、最終的に豚、牛、鶏の3商品が選ばれました。バンズは新たに開発しましたが、中身の具材や味付けはそのまま。ポテトやコーラと一緒に食べた時の相性も良いそうです。

下平篤雄副社長は「2016年から構想し、足掛け5年で開発した。最も大切にしたことは、マクドナルドの味をお米で楽しめるというコンセプト。マクドナルドでしか出せない味にこだわった」と、語ります。

報道陣に配られた商品を試してみると、ベーコンレタスにごはん、という組み合わせでも、あまり違和感なく食べられました。パンからごはんにバンズが変わったことで、満腹中枢がより刺激される印象です。

かつてあったマックのチャーハン

ごばんバンズは同社初となりますが、実はマクドナルドにはかつて、不思議なごはんメニューが存在していました。チャーハンとシューマイが入った中華メニュー「マックチャオ」(1991年)や、「お昼のカツカレー」(1992年)といった商品を販売していた時代もあったのです。

それから約30年がたった2020年、ごはんメニューを新たに投入するのは、「夜マック」の時間帯。2018年3月から開始した、100円でパティが倍になる「倍バーガー」 が好評で、17時以降のユーザーが増加しているといいます。

「夜ご飯をマクドナルドで食べることには、まだ多くの成長チャンスがある」(下平副社長)として、既存のバーガーでは取り込めなかった、夜にコメを食べたいユーザーの獲得を狙う考えです。

「夜ご飯ではパンではなく、おコメが食べたいという、日本人ならではのニーズがある。30〜40代になると食事の好みが変わり、和食を好むようになる」(下平副社長)

夜マックの新商品について、いちよし経済研究所の鮫島誠一郎主席研究員は、「夜の売り上げ構成比を高めるのが狙い」と分析します。

同社は49ヵ月連続で既存店売上高が前年実績を上回っていますが、昼の売り上げをこれ以上伸ばそうとしても、店舗のキャパシティ的な問題があるようです。そこで、伸びしろのある夜の売り上げをおコメの新商品で底上げしようという狙いが垣間見えます。

テレビCMにはお笑いコンビ「ナイツ」の塙宣之さんや、俳優の高橋克実さんを起用。夜のマクドナルド店内を舞台に、“大人”のさまざまな人生を描いた内容で、夜マックの認知拡大を狙います。

消費増税後も好調な業績が続いているマクドナルド。ごはんメニューの導入で、夜間の売り上げをさらに高めることができるでしょうか。

© 株式会社マネーフォワード