投資歴27年で5.5億円を築き上げた、元清掃会社サラリーマンの投資法

投資家によって投資法やスタイルはさまざまです。今回は、投資歴27年で5.5億円の資産を築き上げたwww9945さんに話を伺います。www9945さんは21年間勤めた清掃会社を退職し、2014年からは専業投資家に転じました。どのようにして資産を築いてきたのでしょうか。


成長株で稼ぎ、配当・優待株を増やす

――www9945さんの投資方法を教えてください。

配当金狙いの投資と成長株の値上がり(キャピタルゲイン)を狙う2つの軸で投資しています。成長株を買ってキャピタルゲインを得て、そのお金で高配当株や優待株を買っていくのが基本です。まずは信用取引で成長株を買い、上がった銘柄は建玉の価格が低いものから現引きします。すると再び余力ができますので、同じ銘柄を買い増したり、別の成長株を買って更なる利益を狙うというのが私の勝ちパターンです。

ただ、成長性が見込めてもPERが高すぎると感じる銘柄は買いません。小型のグロース株(成長株)を狙う人たちの中にはPER60倍や90倍といった銘柄を買う人もいますが、私には無理ですね。せいぜい20倍~25倍くらいまで。40倍になったら一部売ろうと考えます。

――配当や優待で買っている銘柄は手放さないのですか。

基本的には持ち続けます。ただ、キャピタルゲインが乗って株価が2倍になったり、PERが40倍くらいまで上がった時は売ります。また、優待で買っている銘柄はほぼ100株ずつですので、こちらはほとんど動かしません。優待銘柄は基本的に最低単元の100株投資が効率が良いですよね。保有数が少なければ相場が悪くなったとしてもダメージは小さいですし、むしろなんとかショックといった名がつくくらい下がる時は優待銘柄が買いやすいので、あらかじめ狙っている優待銘柄をリスト化しておき、100株ずつ買うこともあります。2018年のクリスマスに大きく下がった時も、狙っていた優待銘柄を100株ずつ16銘柄買いました。

相場全体が下がる時は、成長株やバリュー株も割安な株価まで下がるはずです。しかし、安いかどうかの判断は投資する人の考え方次第です。バリュー株のバリュー性とかグロース株の成長要因とかは目に見えませんので、相対的には安いのかもしれませんが、さらに下がる可能性もあるのです。その点、優待は利回りという数字が目に見えますので、下がっている時の逆張りでも比較的安心して買えます。キャピタルゲイン狙いの成長株投資が「攻め」だとすれば、優待株は私のポートフォリオの「守り」の部分ともいえます。

優良銘柄は順張りのほうが買いやすい

――優待銘柄以外は逆張りではなく順張りですか?

はい。成長銘柄を買う時はポートフォリオの中で上がっている銘柄をピラミッディング(購入した銘柄の値上がりに合わせて買います)をしますので、順張りが基本です。また、私は信用取引で買っていきますので、逆張りはリスクが大きいと考えています。逆張りした銘柄が下がると資産が減るだけでなく信用口座の維持率も下がります。そういう状態が続いている時に大きな下げ相場がくると、耐えられなくなって安値で投げることになります。これは典型的な負けパターンですよね。ですので、信用の場合は順張りの方がリスクは小さいと思います。

――ポートフォリオの管理はどのように行っているのですか。

まずは5つか6つくらいの銘柄をメインにしながら、その中で値動きが良く、上がっているものを残し、比率を増やします。逆に上がらない銘柄は減らして、その余力を強い銘柄の追加購入にまわします。すると、トーナメント戦のような仕組みで自然と優秀な銘柄がポートフォリオの上位にきます。強い銘柄が常にポートフォリオの上位を占めている状態にするのが理想です。

――ポートフォリオのチェックは毎日行なっているのですか。

毎日見ていますし、ほぼ毎日動かしています。毎日見る必要はないと思いますが、私は売買が楽しいですし、見ているだけではつまらないので、100株でも200株でもよいので動かしたいんです。要するに、売買中毒ですね(笑)。その気持ちを抑制するために、後場は相場から離れて街歩きするようにしています。よく旅に出ているのも売買頻度を抑えたいという狙いがあります。私が旅行をする時は、だいたい日曜に出発して金曜に帰ってきます。このスケジュールだと会社員の人が少なく、空いていますし、安く旅行できます。そして何よりも、旅行している月曜から金曜までの間は相場がありますので、その期間で旅行することが抑制になるのです。

――日本人は逆張り派が多いという説がありますが、順張りにはリスク管理以外にもメリットがありそうですね。

その時々の相場にもよりますが、例えば、今の米国市場のように押し目がほとんどない状態で上がっていく相場だと、逆張りでエントリーするタイミングがありません。私が狙いたい銘柄もジワジワと上がっていくことが多く、逆張りを狙っているとなかなか買えないのです。その点、順張りはトレンドフォローですから素直に買えます。日本株全体や狙っている銘柄が米国株のように上がっていくという前提なら、順張りの方が利益が取れる可能性は大きいと思います。

バリューといっても投資法はさまざま

――www9945さんは成長株を買う時も単に成長性を見るだけでなくPERを見て判断しています。その点ではバリュー投資という括りでいいのでしょうか。

大きく分けるとバリュー投資だと思います。ただ、バリュー投資にも色々あり、銘柄選択や売買のタイミングは違うものなのです。

例えば、私の友人で資産バリュー銘柄を得意としているKさんという方がいます。先日も24,000円くらいでJR東海(9022)を買っていました。そこから株価が下がったため、私は21,000円台で売ったのですが、Kさんはその価格帯で損出しクロスして、買い単価を低くしていました。両者ともバリュー投資家で、同じ銘柄で、同じPERを見ているのですが、捨てる人がいて、拾う人がいるわけです。

――バリュー性を判断する考え方が違うということですか?

それもありますし、Kさんは現物で買っているため長く持てる一方、私は信用取引なので損失が致命的になる前に売らないといけないという違いもあります。また、Kさんとは太陽化学(2902)でかぶったこともあったのですが、この時も持っている価格帯が違いました。Kさんは800円台で買い、1,200円くらいで割高になったと判断して売りました。私はその値段から買い始め、ピラミッディングしながら1,600円くらいで売りました。2人とも(利益が)取れましたが、売買するタイミングが違い、取れた価格帯も違うのです。

――投資法は、順張りと逆張り、バリューとグロースといったように単純化して考えがちですが、簡単に分類できるわけではないのですね。

そう思います。万能な投資法はありませんし、良い方法はあるにしても、その時々の相場によって変わるものです。自分で良さそうな方法を試して、自分なりの投資法を作っていくのが良いですよね。私自身、かつては逆張り派でした。現物と信用の二階建てもやっていた時があります。やってはいけないと言われている方法を散々やりつつ、10年くらい勝てない時期が続いて、ようやく今の投資法になったというのが実態です。

もちろん、それでも常に勝てるわけではありません。直近では2018年は年単位でマイナスでした。

――何か大きな損失があったのですか。

ありました。エリアリンクです。あれは失敗でした(笑)。

※次回はwww9945さんのキャピタルゲイン狙いの銘柄に迫ります。

本記事は取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。投資に関する最終決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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