ザ・フー『WHO』 生命力あふれる13年ぶりの新作

ザ・フー『WHO』

 ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・スト-ンズと並ぶイギリスのロック・バンド、ザ・フー13年ぶりのニュー・レコーディング・アルバムです。あえてニュー・レコーディングと記したのは、ウッドストック・フェスから50年というロックのアニバーサリー・イヤーだった昨年、ビートルズの『アビイ・ロード』など多くの過去の作品が再リリースされたのですが、おなじ69年に『トミー』という傑作を生んだザ・フーがなんと新録をしたからです。

 かつて偉大だったアーティストの今の音楽には二つの姿があります。一つは後ろを向いたもの、もう一つは前を向いたもの、前者は郷愁であり後者は生命です。ピート・タウンゼント(G)の「ロジャー・ダルトリー(Vo)も私も老人だ。ロマンスと、できるだけ郷愁とも、距離を置くようにした」という言葉に本作のすべてがあります。過去のロック・スタイルであっても正面から向き合った音楽には生命があります。ピートの時を超えたメロディと、ロジャーの歌声に老いは感じられません。

(ユニバーサル・2600円+税)

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