新幹線長崎ルート「期待」6割 地域活性化の起爆剤に  県内主要企業・団体 トップアンケート

 長崎新聞社と十八銀行系のシンクタンク長崎経済研究所(長崎市)が県内主要企業・団体に実施した新年トップアンケートで、九州新幹線長崎ルートの整備とそれに伴う駅周辺の再開発への期待度を聞いた。回答者の6割に当たる54人が、人口減少が続く中、交流人口の拡大や地域経済の活性化への起爆剤となることを望んだ。

 長崎ルートは新幹線と在来線特急を乗り継ぐリレー方式で2022年度に暫定開業する。これに向けて沿線の長崎、諫早、大村各市では駅周辺の再開発が進む。
 アンケートでは、駅周辺再開発の計画内容や進め方に期待しているかどうかを尋ねたほか、提言も求めた。85人が回答した。
 「大いに期待する」理由として最も多かったのは、「九州圏内外からの集客力、景気刺激に期待」「中部、関西圏からの流入人口が増加する」など交流人口の拡大と経済活性化を望む声。長崎駅周辺で進む長崎市のMICE(コンベンション)施設建設計画や、サッカー専用のスタジアム構想との相乗効果を期待する声も上がった。
 「改善する余地がある」は16人。新しい長崎駅舎と国道がこれまで以上に離れることを踏まえ、運輸業の一人は「他の施設や交通機関へのアクセスが不安」とし、製造業の一人は「市民・観光客など使用者サイドの検討が全くなされていない」と指摘した。九州新幹線長崎ルートの新鳥栖-武雄温泉間はいまだ整備方針が決まらず未着工。製造業の一人は「全線フル規格での早期開業がなければ効果が限定的になってしまう」と危惧した。
 「どちらとも言えない」は15人が選択。業界団体の一人は、駅周辺全体での集客力を疑問視し「長崎駅に隣接するMICE施設はどのくらいの利用があるのか、採算性などの精査を」と注文した。「県北にはほとんど影響がない」との声もあり、新幹線の開業効果をルート沿線にとどめない方策を求めた。

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