『世界に発信する好機』 東京五輪閉会式と「長崎原爆の日」祈念式典が同じ日

「平和への誓い」を読み上げる代表者を選ぶ審査会の初会合=長崎市役所

 長崎市は28日、8月9日の「長崎原爆の日」の平和祈念式典で「平和への誓い」を読み上げる代表者を選ぶ審査会の初会合を市役所で開いた。今年は式典と東京五輪の閉会式が同じ日に開かれるため、委員は「原爆の実相を世界に発信する好機と捉えるべきだ」と市に求めた。
 委員は被爆者団体の代表や有識者ら5人。舩山忠弘会長は「五輪閉会式に参加する海外の要人が式典にも出席する可能性があり、被爆者が直接訴えることの意義は大きい」と強調した。川野浩一委員は「下手をすると長崎原爆の日が忘れ去られてしまう。(同日開催を)うまく利用して世界にアピールすることが大事だ」と指摘した。
 誓いを読み上げる代表者は2月3日~3月31日に募集。4月以降に審査し、5月に決定する見通し。長崎で被爆し、核兵器廃絶や体験継承の活動に取り組んでいる人を対象とする。居住地、国籍、被爆者健康手帳の有無は問わない。
 代表者選定は従来、県内の被爆者5団体に委ねていたが、市は門戸を広げるためとして2017年から公募制に変更した。19年は5団体や在外被爆者からの応募がなく、委員からは、応募を呼び掛けるよう市に求める意見が出た。

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