コロナウイルス感染拡大で「吉原などのソープ街が危ない!」という無責任な声 他業種のアラ探しをする前に自己管理の徹底を

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1月28日、安倍内閣は感染が拡大している中国発の新型コロナウィルス肺炎に対して、「指定感染症」並びに検疫法による「検疫感染症」に指定するとした閣議決定をした。対応の遅さにいら立っていた国民の声に、遅まきながら応えた形だが、国民の間に広まった不安はそう簡単には収まらないようだ。ネットを中心にパンデミックを懸念する声が大きくなり、一部マスコミもそれに和するような姿勢を見せている。

そんななか、成人男性を対象に風俗での新型コロナウィルス感染の可能性を示唆する記事も散見するが、(風俗が)特殊な対象とあってイマイチ、正確性を欠く記事もあるようだ。本サイトで改めて検証してみたい。

まずは、「吉原などのソープ街が危ない」についてだ。そもそも論として、風俗店などの個室で営業する以上、新型コロナウィルスだけではなく、インフルエンザ感染などのリスクも高いのは間違いない。ただそのなかで、店は客を選べないので危ない。最近、中国人などの外国人を受け入れているので危ない、という主張がある。

この点についてだが、吉原などの一部店舗で中国人を含めた外国人客を受け入れているのは事実である。しかし、それもごく一部であり、ソープという性質上他店舗との接点は極めて少ない。そして大切なのだが、店が客を選べないというのは大きな誤解である。

吉原を歩いたことがある人ならわかると思うが、そもそも客のほとんどが予約客である。最寄りの駅までの送迎やタクシーで来店して、ことが終わると同様に去っていく。このシステムでは店側のセキュリティーは保ちやすく、よほど鈍感ではない限りセーブはするハズだ。ましてやソープ嬢が拒否すれば、それでおしまい。勘違いされることは多いが風俗嬢は客を選ぶし、店もそれに従う。

もちろん、不特定多数が出入りする業態である以上、インフルを含めて店側の一層の意識の高まりは必要だが、「吉原などのソープ街」がパンデミックの原因になると騒ぐのは、風評被害にもつながりかねない。

いまひとつ、いわゆるちょんの間についてだが、街歩きでの入店、気安さなどを考えればソープよりはリスクが高そうだが、これはごく一部の地域(大阪や川崎)であり、いざという時の封じ込めは容易である。現段階では、客側としては自己責任の範疇と言ってもいいだろう。

では、すべて自己責任なのか?というとそうでもない。

いわゆるグレーゾーンに属する風俗は、そもそもが安全性について意識が足りないからだ。業種で言えば、立ちんぼはもちろん、エステを装ったヌキの店などがそれにあたる。不法滞在の外国人などが従事していることも多く、万が一、新型コロナウィルスの症状が出たとしても、それを申告するとは思えない。根本的に順法意識がないのだから当然だろう。

いずれにしても、政府の対応を見てもわかるように「非常事態」であることに違いはない。基本的には風俗も含めて他者との接触を減らすのがリスクを回避する基本だ。それでも風俗には行きたい!というのなら、リスクが高い業種は避けるのが無難であろう。(文◎堂本清太)

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