保険をやめる勇気。安心やお守りのために100万円以上支払っている場合も

保険というのは、「安心を買う商品」です。たしかにそういった効果もあります。「保険に入っている」ということだけで、なんとなく安心できます。

私の知り合いが、終身払いのがん保険に入っているのですが、「がん保険をやめると、がんになるのじゃないかと心配でやめられない」と言っていました。しかし終身払いということは、一生涯保険料を払わなくてはいけないですね。がんにならないと死ぬまで保険料を支払うことになります。保険をやめるのかというタイミングは本当に難しいです。

つまるところ、保険をやめることができないとか、保険に入りすぎてしまう。というのは「安心のため」「お守りのため」などと思っているからではありませんか?

おそらく「安心」「お守り」のためというのではなく、もっと必要性ということを考えれば、保険に入りすぎることがなくなります。今回は、「保険をやめる勇気」についてお話しをしましょう。


保険をやめるのには勇気が必要

すでに契約をしている生命保険をやめるというのは、とても勇気がいることだと思います。それは、誰しもそうです。「医療保険をやめたすぐあとに、入院したらどうしよう!」「定期保険をやめたあとで、すぐ死んだらどうしよう!」なんて考えてしまいます。

たしかに、解約したあとで、すぐに入院をしたり、死亡したとしたら、それは損になります。しかし、これは誰にもわかりません。そんなことは「絶対にない」とは言えません。

安心材料の費用でどのくらい支払っているのか知っていますか?

生命保険は、「安心」とか「お守り」という意味では、効果のあるものだと思います。それで安心を得ることができるのなら、悪いことではありません。ただ、安心材料としての保険、お守りとしての保険ということで考えると、保険料は高額です。

たとえば、月額4000円の医療保険に入ったとすれば、年間の保険料は、4万8000円になります。これを30年間支払うとしたら、144万円です。

生命保険とは、住宅の次に高い買い物だといわれているのですが、世帯平均の年間の保険料は38.2万円です。これが、30年支払うと1146万円近くなります。40年間支払うと1528万円の金額です。生命保険の支払う総額を考えるとかなりな金額です。

この保険料が、「お守り」のためや、「安心材料」のために入っているとしたら、とても高いですね。私の場合の「お守り」に支払い費用というのは、お正月の初詣で、お賽銭に100円、お札やお守りで約1500円くらいです。それと厄年には、もう少し高額なお守りを買いました。とはいっても5000円くらいです。

お守りのために、100万円、200万円、ましてや1000万円以上支払うというのは、さすがに払いすぎではないかと思います。

心配事のすべてを保険で備えるのはナンセンス

日常生活の中で心配事は、いろいろあります。

・病気になって入院したときの治療費はどうしよう。
・がんになったときに治療費はどうしょう。
・ケガで働けなくなった時の生活費はどうしよう
・子どもの成績が悪いが心配でどうしよう。
・子どもの学費が心配でどうしよう。
・もしも死んだときに残された家族が心配でどうしょう。

上記の心配事で、「子どもの成績が悪いので心配」という以外は、すべて保険商品を使って備えることができます。しかし、これらの心配事に対してすべて保険で対応しようとすると保険料はどんどん高くなります。

すべての心配事を保険でカバーしようとするのはナンセンスです。心配事にはキリがありません。終いには毎月の保険料が高すぎて、生活費が心配ということになります。

医療保険は必要度の低い保険?

生命保険というのは、「もしもの時の経済的なリスク」をカバーするものです。しかし、心配し過ぎで、ムダな保険をかけていることが実に多いのです。

経済的な損失が大きくて、自分の力(貯蓄)ではカバーできないことに対して、保険はとても役に立ちます。しかし、経済的損失が小さくて、自分の力(貯蓄)でカバーできるのであれば、保険は必要ありません。

たとえば、医療保険がそうです。病気で入院をしたとしても、それほど自己負担は多くありません。なぜなら、健康保健で自己負担は3割ですし、高額になった場合にも、高額療養費制度があるので、一般的な収入の人は、月額9万円くらいしかかかりません。医療費に関しては、余裕資金が20万円ぐらいあれば、心配しなくてもいいでしょう。

また、がん保険も実際には他の病気と治療費は変わりませんから、治療費の心配はいりません。しかし、治療のために働けなくなることがあるので、就業不能保険は必要な場合があります。

介護保険も、基本は貯蓄で考えるようにして、貯蓄が少ないようでしたら保険を検討するのはいかがでしょうか。

入らない勇気を持てば、保険料のムダがなくなる

合理的に考えれば、医療保険というのは、必要度の低い保険商品です。それに比べて、小さい子どものいる世帯の死亡保険は、必要性の高い保険です。

もしも死亡したとき、残された家族の生活費や子どもたちの教育費というのはかなりの金額になるので、貯蓄でなかなかまかなえません。ですので、それに備える保険というのは優先度の高い保険になるわけです。

あれもこれもと心配事をすべて保険で備えるのではなく、本当に困ることだけ保険で備えて、その他は、貯蓄で備えるようにすると保険料の負担も減ります。

保険の本質を知り「保険をやめる勇気」を持つことができれば、保険料のムダをなくすことができます。必要な保険と不必要な保険を考えて、不必要な保険には入らない勇気を持ってください。

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