救命救急センター設置 医療体制 構築の出発点に 人材育成にも注力 市立病院機構・兼松隆之理事長 

救命救急センターの役割や方向性を話す兼松理事長=長崎みなとメディカルセンター

 長崎市新地町の長崎みなとメディカルセンターは2月1日、緊急度・重症度が高い患者を24時間体制で受け入れる救命救急センターを開設する。運営する市立病院機構は当初、病院の1期棟完成に合わせ2014年2月の開設を目指したが、医師を確保できず遅れていた。兼松隆之理事長(74)に経緯や展望を聞いた。

 -なぜ遅れたのか。
 センター設置に向け診療科目を充実させ、救急患者の受け入れも増やしてきた。ただ、条件の一つである常勤の救急専門医を確保できなかった。これまで採用した専門医は半年や2年で離職した。専門医は全国的に少ない。院内のサポート体制も十分ではなかった。責任を感じている。

 -長崎大の救急・国際医療支援室から2~3人の専門医派遣が決まり、センター設置が可能となった。
 大学職員として来てもらう。専門医が何かの事情で別のポジションに移っても、次の人を派遣してもらうことで継続性を保てる。

] -センターは長崎大学病院の高度救命救急センターに次いで市内2カ所目。役割分担や連携の方向性は。
 ここでは強みである心血管や脳血管の疾患を中心とし、大学病院では広範囲熱傷や多発外傷など高度な技術を必要とする疾患をお願いしたい。市民の「最後のとりで」を大学病院と分かち合うことが必要だ。人材育成にも力を入れ、地域の医療機関への協力、支援もできたらと考えている。

 -医療体制の充実に向けさらに必要と思うことは。
 離島や西海からドクターヘリで患者が運ばれてくるが、長崎市でも比較的遠い市南部などからさらに運べないか。(医師や看護師が乗って現場に向かう)ドクターカーも必要になると思う。(持ち回りで休日や夜間に対応する)輪番病院は市内にうちを含め九つあるが、やや医師の高齢化や診療科の偏在があるので、今後どうするかは課題だ。

 -改めて、ひと言。
 念願のセンター設置を大変うれしく思う。市民が安心して暮らせる救急医療体制を地域、医師会、輪番病院、大学と共に構築するスタートラインにしたい。

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