ウイルスは進化する! 新型コロナウイルスにどう対処すべきかを専門医に聞いたみた ポイントは「正しく備えて正しくビビる」

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中国の武漢で発症者が増えて猛威を振るう新型のコロナウイルスによる肺炎は、閣議決定で『指定感染症』となりました。国内で感染が確認された場合、法律に基づいて強制的な入院などの措置をとることができます。

武漢に渡航歴のない日本人の発症、武漢からチャーター機で日本人帰国などの報道で情報が錯綜する新型コロナウイルスに、私たちはどのように備えたら良いのでしょうか。

【新型コロナウイルスによる肺炎を予防する方法】と題したブログをクリニックのサイトに投稿なさったばかりの佐藤昭裕先生(東京医科大学病院 感染制御部・感染症科、KARADA内科クリニック院長)にうかがいました。

――新型コロナウイルスに対して我々はどのような生活をすれば良いのでしょうか。

「『正しく備えて、正しくビビる』ことが重要です。生活の中でできることは、外出時のマスク装着と、手洗いです。死亡率は3%ですが、死亡した方のほとんどが65歳以上の高齢者や、糖尿病・高血圧などの持病がある方でした。このことからも高齢者の方や、持病をお持ちの方は、人の大勢集まるところにはいかないという対策も重要になってきます。それ以外の若くて健康で働いている方の対策としては、通勤時のマスク装着、手洗いとなります」

――新型コロナウイルスで何が一番問題でしょうか。

「『ウイルスは変異を繰り返し、進化し続けて変わっていくもの』ということを我々は知っておくべきです。この新型コロナウイルスは最初、『ヒト-ヒト感染はなさそう』『感染力はそこまで強くなさそう』と言われていました。

しかし、これは今となっては間違いになってしまいました。この、変異の速さが問題であり、今は死亡率3%ですが、今後変異により、その数字が変わってくる恐れもあります。

行政の動きとしては、日々変わっていく情報を国民に隠さずしっかり伝えることが大事だと思います。例えば国内での感染が判明したバスの運転手が、どこに立ち寄ったかなどは、公表してよいと思います。同じ時間にそこに居合わせてしまったことがわかれば、早めに医療機関へアクセスできる可能性も出てくるためです」

――武漢からチャーター機で日本人が帰国したことについてどのようにお考えでしょうか。

「国と国の交渉で、スムースに行かなかったこともありますが、まずは帰国されて何よりです。言葉の通じない国で、得体のしれない感染症にかかる恐れがあるというストレスは、想像を絶するものでしょう。現在、国が進めているウイルス検査や、症状観察を行えば大きな混乱はないように思います」

――メディアの報じ方に違和感がおありでしたら、ご意見をお聞かせください。

「先程、述べた『ウイルスは変異を繰り返し、進化し続けて変わっていくもの』ということを知っておくべきです。『うつりにくいって言ってたのに嘘じゃないか』『子供には感染しにくいって言ってたのに嘘じゃないか』など、『過去の現状』について、未来から批判をするのは、ウイルスには適しません。

また、感染者に対する配慮は今後必要不可欠とおもいます。感染してしまった方も、感染したくて感染したわけではありません。指定感染症となり、隔離が本人の同意がなかったとしても隔離を目的に入院させることができるようになったっことからも、プライバシーには十分配慮する必要があります。武漢からチャーター機で帰国された方についても同様と思います」

感染症の専門家にうかがっても、我々自身ができることは限られています。少しでも思い当たることがありましたら、医療機関にご相談下さい。発症なさった方の完治と皆様の予防をお祈りします。(文◎野島茂朗)

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