北朝鮮と韓国、新型肺炎で連絡事務所の運営を停止

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、韓国と北朝鮮は、南北共同連絡事務所の運営を一時的に停止することを決定した。

韓国統一省は30日、北朝鮮の開城(ケソン)工業団地内にある連絡事務所で、南北双方の連絡代表が、新型コロナウイルスの脅威が完全に解消するまでは、連絡事務所の運営を一時的に停止することで合意したと明らかにした。

統一省の関係者は「連絡代表の接触は毎日午前と午後に行われているが、今日の午前の接触で、防疫強化と関連した話が交わされた」とし、運営の一時停止で合意したと述べた。

これにより、韓国政府は連絡事務所に駐在する韓国側の人員を早期に撤収させることにした。現在、連絡事務所には、当局者17人、支援職員41人の合わせて58人が駐在している。ただし、具体的なスケジュールは今のところ確認されていない。

この関係者は「過去のSARSやMERS(2015年に韓国で感染が拡大した中東呼吸器症候群)のときと比べて、北朝鮮がより異例な反応を示している」とし、「北朝鮮が(新型コロナウイルスを)非常に警戒しているところを見るに、(事務所運営の一時停止は)国家非常防疫体制の布告と関連のある措置と見ている」と述べた。


当面の南北間の連絡は、電話やファックスを通じて行われる予定だ。

韓国では、疾病管理本部(CDC)の29日午前9時時点での集計で、感染者が4人、症状を訴え調査対象となっている人183人(検査中28人、隔離解除155人)となっている。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は29日、新型コロナウイルスによる肺炎への対策は「国家存亡に関わる重大な政治的問題」であるとする記事を掲載し、国民に警戒を呼びかけた。また、30日には1面で、「党と国家の緊急措置により、非常設中央人民保健指導委員会では、新型コロナウイルス感染症の危険性がなくなるまで、衛生防疫体制を国家非常貿易体制に転換することを宣言する」と報じた。

© デイリーNKジャパン