なんでアノ人、辞めないの? 不祥事を起こした政治家の出処進退とは? 選挙ドットコムちゃんねる #10-3

他人のミス、不始末は徹底的に糾弾するのに、いざ自分の疑惑が露呈すると全部秘書のせいにしてみたり、『徹底的に調査して説明責任を果たします』といっておきながらダンマリor雲隠れする政治家のニュースが連日、報道されています。

そしてその結末は、ほとぼりが冷めたころ、疑惑への説明もないまま『任期を全うする(辞めません)』宣言で、議員の座にしがみつく情けないものばかりで、もううんざり……。

多発する不祥事はもちろんですが、不祥事発覚後のこうした不誠実な態度が、政治家全体のイメージを激しく低下させている事実を、当の政治家はどう考えているのでしょうか?
またそこまでして政治家を辞めたくない、辞められない本当の理由はどこに?

今回も選挙プランナーの松田氏が吠えます!

番組内容をダイジェストで見ていきましょう。

「ほとぼりなんて、冷ましてなるものか!」と乙武氏

乙武 「さあ始まりました、選挙ドットコムちゃんねる。千葉ちゃん、今日のテーマは?」

千葉 「政治家の出処進退とは、です。不祥事を起こした政治家が続けるのか辞めるのか。最近、政治家の出処進退の話になることが多いですよね。

政治と金を巡る不祥事が報じられ、国会を長く欠席していた自民党の菅原一秀議員、元法務大臣の河井克行議員、河合案里議員の3名が20日の通常国会開始とともに久しぶりに登院したということで、その話を深堀っていければと思います」

乙武 「このタイミングで登院するのがいいっていう風にお三方は判断したということなんですかね?」

松田 「そうですね、通常国会が始まるタイミングからというのは、ひとつ区切りとしてわかりやすいってことですかね。まぁ1か月時間を空けて、ほとぼりも冷めた、うーん冷めてないですけど」

乙武 「冷ましてなるものかっていう気持ちですけどね!」(笑)

松田 「仕事してないじゃないかっていう批判はやっぱり受けますから。当然、国会を休んでいるんだから。どこ行ってたかは知らないですが、雲隠れしてたんですから。

僕、今回のお三方に共通するもので、絶対にはやらしちゃダメだって思うのが『捜査しているので、捜査の支障になってはいけないのでコメントできません』っていう逃げ口上。調査には全面協力します、その協力する中で捜査に支障が出るといけないから申し訳ないけどコメントできない、っていうんです。で適切な時期に説明しますと。
絶対、説明責任なんか果たしゃしないと僕は思いますけど、その言い訳がね、許せない。

捜査に支障が出るって言っているけど、関係ないでしょ。そこでどんなコメントしたって支障なんか出ないでしょ、普通に考えて。本当に、実際の検事さんに聞いてみたいですよね。

テレビでは元検事でヤメ検弁護士されている若狭勝衆議院議員が『いやコメントは全く関係ない。捜査に支障なんか出ない』っていってらっしゃるし、ほかにもヤメ検の方が3名くらいかな、同様のコメントを出しているのを見ると、これは言い訳に使わせちゃいけないよな、と」

乙武 「記者も突っ込まないとね」

松田 「もうちょっと記者にも頑張って欲しいところなんですけど。『いや捜査に支障なんか出ないでしょ』、『適切な時期っていうのはいつですか』、『1か月、2か月休んでて自分で調べて説明するって言ってましたけど、その調査結果はいつ説明してくれるんですか?』って。あんな逃げ口上は、絶対許しちゃいけない!」

乙武 「今回、このお三方だけでなく下地さんも、辞職しないって発表されましたけど。僕、何日か前にもツイートしたんですけど、下地さんの場合はちょっと違うけど、有権者に金品を配る、でそれが明るみになったら当然だけど批判される、だけど辞職は市内で選挙が来るころにはみんな忘れる。

そしたら有権者の中にはもらえるほうを応援するよねって人も出てくる。で、また当選する。ってことはですよ? 配ったもん勝ちですよね。そういう仕組みでいいのって、すごく思っちゃいますよね」

松田 「絶対にダメだとね。当選した議員は『いや、禊(みそぎ)は済んだ』って言うんですよ、選挙に買ったんだから有権者が選んだから自分はもう潔白ですって言うんだけど、それと説明責任はまったく別の話だと思います。

乙武さんがツイッターでも書かれてましたけど、選挙の違反をして、ズルして当選したって大問題ですよね。ズルしないで落選した人は、そいつがズルしなければ結果が変わっていたかもしれない。やっぱりズルして当選したやつは全員捕まえてくれよって、すごく思います」

乙武 「ルールに従って誠実に選挙を戦った人がバカを見るっていうのは、本当に許せないと思います」

松田 「ほんっっとうに、その通り!」

「私なら辞めてます」といったのに辞めない安里議員

千葉 「ところで今回ウグイス嬢への法定外な報酬支払の件で家宅捜索を受けた河井安里さんですが、疑惑発覚以来ずっと国会を欠席されていました。で、過去に彼女が発言をしたことが注目を集めているんですね。ちょっとこちらを見ていただきましょう。

2006年12月なんですが、広島県の藤田雄山知事の後援会をめぐる問題を追及した時に『私ならもう辞めていますけど。なぜならそれが政治家の良心ではないかと思うからです』。また『政治家として名に恥じないご決断をしていただきたい』という風に言っていたみたいですね」

乙武 「ふーむ。これがかの有名な『ブーメラン』ってやつですね」(スタジオ内爆笑)

千葉松田 「そうですね」

松田 「これは広島県知事の藤田さんの後援会幹部の方が、政治資金規正法違反で有罪になった事例なんです。パーティー券の収入を過少申告したというような事件だったと思いますけど、広島県議会で辞職勧告を出すという流れの中での発言かと。

安里さんは胸に手を当てて、これらの自分の発言を振り返ってほしいなと思います。まあ現状では推定無罪ですが、秘書の方が実際に供述とか報道にあるようなことをしていたのであれば、これは完全に公選法違反になりますし、秘書がそういった買収という違反をした場合は、連座制という制度が公選法にはありまして、仮に河井さんがまったくなにも知らないところで秘書が勝手に買収したという場合でも、河合さんの当選は無効というのが連座制の規定なんですよ。

公選法の主旨として候補者が『いや私は知りません、秘書が勝手にやったことです』というのを認めない。注意監督義務を候補者に課している。実際何も知らなかったとしても、秘書と呼ばれるポジションの人が悪質な買収行為をしていたと有罪が確定したら、連座制で失職する可能性は十分にあると思います」

乙武 「なるほど」

配る側もアウトだが、違反を知っているのに要求するベテランウグイス嬢もいる

乙武 「ただこういう事件を見たときに、僕が気になるのは……。もちろん、お金を配る側もアウトですよ。でも受け取った側も存在するわけですよね。その受け取る側もさ、たとえばウグイス嬢をはじめてやりますっていう人なら、上限額がいくらか知らなくて倍の金額を受け取っちゃうことだってあるかもしれない。

でも、いろいろ話を聞くとウグイス嬢ってけっこうベテランの人が多いみたいじゃないですか。ベテランなら知ってるよね、上限」

松田 「絶対知ってる!」

乙武 「知ってて倍もらってるわけでしょ。こっちは罰せられないの?」

松田 「もらったほうも罰せられます。もちろん、自分から要求した場合も違反になりますから、当然違反で逮捕されたウグイス嬢って全国にたくさんいるんです」

乙武 「ちょっと言いづらいかもしれないんですけど、政治家というか選挙をする側としては、お金を倍払うよりもさ、半分って言うか既定の金額で済んだ方が断然、いいわけじゃないですか。ってことは、やっぱり相手側から要求されている?」

松田 「されます(断言)。僕、全国で選挙していて本当に大変なのことのひとつがコレなんですけど、結局その地元でずっとウグイス嬢をやられているグループの方とかがいると、そこを使わないと悪口言われるっていうリスクがあるんですよ。

そこは選挙の世界なので、そこに仕事を発注することである種のリスク管理をするみたいなケースもあるんです。でも当然、3万円とか支払ったら違反になっちゃうので、私がかかわる場合はもうその手の交渉も私がやりますよと。

もう私が悪者になる以外ないので、要求されても『いや違反なんで無理です』ということでね、過去の逮捕の記事なんかもお見せして『最近は本当に厳しくなってますから、今までは捕まらなかったかもしれないけど捕まりますよ、違反ですよ』って言うわけです。

『なんだ、東京から来たあの野郎』みたいに思われながら、1万5千円以上は支払いませんっていうような交渉をすると。実際、喧嘩になったりとか問題になることもありました。

『3万円が(この地域の)相場です』って、ウグイス嬢からはっきり言われることもありますよ。もちろん順法精神を持っておられるウグイス嬢の方もおられますけど。

何交代で選挙カーに乗るかとか、何時間乗るかとかそういった具体的なことをきちっとお話しさせていただいて、法律の範囲内でっていう風に誠実にやってくださる方もいます。でも地域によっては、一番高いと5万円要求されたこともあります」

乙武千葉 「おおおっ!」

松田 「そんなに高いんなら、俺がその仕事するわって! しないですけど、法律違反だから」(スタジオ内爆笑)

乙武 「松田さんの肌感覚として、正規の値段でっていう人とそこはいろいろあるじゃないって人は、何対何くらい?」

松田 「これははっきり分かれているんですけど、例えば自民党系と無所属系だとやっぱり違いますね。無所属の候補ってまずそもそも自分のお金がない。だからボランティアでやってもらうとか、そういうのも多いんです。昔からやっているプロのウグイス嬢の方とのパイプもないですしね。

プロの方にお願いするにしても、既定の1万5千円が精いっぱい。で、公明党とかもやっぱりボランティアが多いし、選挙違反にすごく厳しいので、規定以上に払うというケースはあまりないと思いますし、共産党とかも同じですね。

でもやっぱり自民党系は、高額を支払っちゃうケースがすごく多いです。逆に自民党系とパイプのあるプロのウグイス嬢が要求してくるケースも多い。

今回の河井安里さん以外にも『3万円が相場です』って言われたり、支払っている方、たくさんいると思います。もちろん自民党だけが悪いわけじゃないし、選挙区の地域性というのもあると思いますが、古くからの地域、古くからの政党というとね、そういうケースは多いですね」

「公選法の範囲内じゃプロは雇えない」なら、法律改正すべき!

乙武 「なるほどね。古い慣習っていうのはあるかもね」

松田 「ただ僕が1つ言いたいのが、この報道に対して『公選法が実態に合ってないから、3万円くらい出さないとプロは雇えない』みたいなコメントを出している自民党関係者がいたんですけど、だったら法改正しとけよ!

おまえらどんだけ与党やってんだよって話ですよね。実情に合わないというなら、ちゃんと公選法のルールを改正しろよと。そこは言われるとカチンとくる!」

乙武 「だよね。ルール変える権限持ってるんだもんね」

松田 「それを裏で3万円払っててね。領収書2枚に分けてっていう手口を、ウグイスの人たちみんなが知ってるんですよ。『大丈夫です~、ちゃんと領収書は2枚に分けますから~(3万円ください)』って、だからそれ違反だって言ってんだろ、と!」

千葉 「今日は松田さんの感情が大爆発してますねっ」

松田 「河井さんの事例も領収書2枚って話ですけど、本当にその手口が全国で横行しているわけですよ。これ違反なら違反でちゃんと捕まえてくれれば、この後僕の仕事も楽になるんで。『ほら、捕まるでしょ、ダメですよ』って言いやすくなる」

乙武 「マスコミには配ったほうだけじゃなく、要求してくる側の問題点も指摘してほしいね」

議員が辞めづらい理由は、支えて送り出してくれた人への責任感?

千葉 「今回以外にも過去の政治家の出処進退にはこのようなものがありました」

千葉 「元国会議員で最近の方だと、宮崎謙介さん。他は都知事の方とかですね」

乙武 「宮崎さん以外は首長が並んでますね。これ、国会議員が辞めづらいみたいなところはあるんですかね?」

松田 「国会議員は辞めないですねえ」

乙武 「それは政党から辞めるなって圧力がかかるんですか?」

松田 「そこはケースバイケースだと思います。例えば下地さんの場合ですと、彼は比例復活していますから。維新の九州の1議席でね。だから仮に下地さんが辞職したら、維新の1議席分空きますから、別の人が繰り上げ当選するんです。

ただ、小選挙区で勝ち上がっている場合は、そうした適用がないんで、小選挙区で勝った議員が辞めると政党はその分、議席を失うことになりますから、党が圧力をかけるというか辞職を引き留める場合はあるでしょうね。

でもそれ以前に、辞めるほどの問題かどうかっていうところの判断の仕方が大きいんじゃないかと。公選法違反で連座制に該当するような形で事前に辞職されるケースも90年代とかそれ以前だとあったと思うんですけど、最近はそれが原因で辞職する人は減ってますよね。

宮崎さんの場合は、不倫を理由に国会議員が離党どまりではなく辞職までするということに関して、行き過ぎじゃないかというような声もありました」

千葉 「うーん」

乙武 「松田さんは、この5人の中で辞めるべきが、辞めるべきじゃなかったかを言っていくと、どうなりますか?」

松田 「個人的にはですね、宮崎さんに関しては辞めるべきじゃなかったと。というのはやはり不倫の問題が個人的な問題なのか、公的な問題なのかっていうところは議論が分かれますけども……。

彼は、育児休暇を取るとかねパフォーマンスをしてたという点では不倫が問題になってよけい注目されて叩かれた点だとは思いますが、配偶者である金子さんが許しているということであれば、そのまま議員を続けてしっかり有権者に対しても説明するという形を取ってもよかったんじゃないかとは思います。

米山さんに関してはやはり辞めるべきではないかと。売春行為という非常に問題がある事実があったわけですし。
舛添さんに関してはですね、多少報道が過熱しすぎた点もあったのかなと思います。公用車の問題については認めたうえで謝罪して、辞職しないという選択肢もあったかなと。改善されれば、問題はなかったんではないかとも思うんです。

猪瀬さんの場合は、やっぱり辞めるべきでしょうね。選挙に絡んで資金提供を受けていたというところで、そこは大きな問題ですから。

泉さんは、1度辞められたうえでもう1度選挙に出て圧勝されています。辞職という区切りをつけて、次の選挙で市民の判断を仰いだと。これは有権者に理解されたと解釈してよいのではと思います」

千葉 「なんか思った以上に辞めた人が少ないなっていう印象だったんですけど、実際辞めたくないくらい政治家っていうのは魅力的なお仕事なのか、それとも周囲に辞めちゃいけないっていう空気が蔓延しているのかどっちなんでしょうね」

松田 「僕も議員をやったことがないんで、想像なんですけど、乙武さんがこの前、平沢勝栄さんと対談した時『議員はたくさんの人に応援してもらって当選している。それぞれ期待して国会に送り込んでもらっているんだから、勝手には辞められない』っていうような発言を平沢さんがなさっているんですよね。

やはり後援者の方々に支えてもらって自分は仕事をしているので、勝手に出処進退は決められないから後援会に諮ったうえで判断をするっていう方が多いのは、選挙に関わってる僕も心情的には理解できるんですよね。

選挙って本当にものすごくいろんな人に支えてもらって初めて勝てるわけで、自分一人で当選なんてできるもんじゃないから。

でもその一方で、地位にしがみついてるだけじゃないかって見えるのも事実。一生懸命まじめに仕事をすると、実際には議員って全然儲からない仕事だって言われるんですけど、参議院に当選して6年間、ほとんど仕事しないで私腹を肥やそうと思ったらできなくもない仕事でもあるんです。

今、何が何でも実現したい政策があるとか、この部分の制度を変えたいとかで、多少のスキャンダルがあっても自分は石にかじりついても成し遂げるぞ、みたいな人はあんまり聞かないですよね」

乙武 「あれ、そういえば豊田真由子さんはこの中(過去の議員の出処進退の表)には入らないんだ」

松田 「豊田さんは、不祥事で自民党を離党しましたけど辞職しないで次の衆院選に出て落選、というかたちです」

乙武 「そうかあの不祥事があって辞めたわけじゃないんだ。そのまま議員として続けて、次の選挙で落ちたから、なんとなく辞めたイメージになってるだけなんだね。不祥事ではこういうケースが一番多いのかな」

松田 「そうですね。離党してもう1度選挙に出ようとしたり、そのまま出られなかったりという形でフェードアウトみたいな。まぁ解散まで国会議員の職を維持する方が今のところは多いのかなと」

乙武 「なるほどね~。なんだかすっきりしないけど、ひとまず今回はここまで。チャンネル登録と高評価、よろしくお願いします!」

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