新型肺炎感染の運転手、20日に神奈川宿泊 滞在中外出せず

神奈川県庁

 神奈川県は30日、新型コロナウイルスに感染した奈良県のバス運転手の男性が、20日に県内の宿泊施設に1泊していたと発表した。中国・武漢からのツアーとは別のツアー客をバスに乗せ、客と共に宿泊。施設滞在中は外出しておらず、県内の観光地などは訪問していない。男性以外の感染は確認されていないという。

 県が奈良県から得た情報によると、男性は18日から22日まで、ツアー客をバスに乗せて大阪─東京間を移動。県内の宿泊施設には20日午後7時半ごろに到着し、翌21日午前8時ごろまで滞在した。

 奈良県から29日夜に連絡を受け、神奈川県が独自に発表した。県は具体的な宿泊先は把握しているが、公表は見送った。

 黒岩祐治知事は「不確定情報に振り回され、臆測を呼んで非常に混乱している」と指摘。その上で「情報が国から提供されないのは非常に問題。プライバシーの保護や風評被害の視点は重要だが、国が濃厚接触者の数や行動経路などを速やかに公表すべきだ」とし、危機管理・防災特別委員長を務める全国知事会でも働き掛ける考えを示した。

 一方、県が25日に開設した相談専用ダイヤルに寄せられる相談件数は増加傾向で、30日時点の累計相談件数は274件に上った。県は県内中小企業を対象にした相談窓口も設置した。

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