MHPS 日立が撤退、三菱の完全子会社へ 新社名検討中 長崎工場の事業変更なし

MHPS長崎工場を表示した看板。三菱の完全子会社化により、社名が変わる見通しだ=長崎市飽の浦町

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS、横浜市)は今春、三菱重工業の完全子会社になる。共同出資していた日立製作所が撤退。これに伴う長崎工場の事業や人員に変更はないが、マラソン部の活躍もあって定着した社名がどう変わるのか地元従業員らは気をもんでいる。

 MHPSは2014年2月、三菱が65%、日立が35%を出資する形で火力発電事業を統合し、発足した。それ以前に日立が受注し、MHPSが引き継いだ南アフリカ事業の工期が遅延。三菱は損失負担額の支払いを日立に請求していた。昨年12月、日立が和解金2千億円を支払い、保有全株式も譲渡することで決着。三菱は、和解金と株式価値を合わせると5500億円以上になると試算している。
 株式移転完了は4月以降になる見通し。MHPSによると、これまでは三菱と日立が競合する技術を活用できないケースもあった。今後は「より機動的な事業運営が可能となり、三菱の持つリソース(経営資源)や技術とのシナジーが従来より出てくる」とメリットを強調する。
 ただ、火力発電を巡っては、二酸化炭素(CO2)排出抑制の逆風が吹く。米ゼネラル・エレクトリック(GE)と独シーメンスの2強が失速し、代わってMHPSが一昨年、主力の大型(10万キロワット以上)ガスタービン受注でシェアトップ(出力ベース)になった。大容量発電から非常時電源利用に移りつつある顧客ニーズに対応しているという。
 長崎工場では、中小型蒸気タービンやボイラーなどを製造。完全子会社化に伴う事業内容や人員規模に変更はないとしている。
 社名変更については「検討中」。日立を示す「H」だけを外す案や、重工を示す「HI(ヘビー・インダストリーズ)」を取り入れる案などが取り沙汰される。ある従業員は「当初は『MHPSって何の会社?』と言われた。長崎を拠点とするマラソン部の活躍でようやく全国に知れ渡ったのだが…」と惜しむ。


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