大阪高裁 大飯3、4号機運転差し止めを退ける

 関西電力大飯原発3号機、4号機(福井県、稼働中)について、原発から約50キロ離れた京都府の男性が「大飯原発の基準地震動評価は過小で、巨大地震に対する安全性に問題がある」として運転の差し止めを求めた仮処分申請の即時抗告審で、大阪高裁は30日、申請を退けた。

 男性は巨大地震が起きた場合「住民の命や生活に危険がある」として運転差し止めを求めていた。裁判では「基準値振動」や安全性審査の適正が争点になった。

 高裁は「原子力規制委は関電が策定した基準値振動が安全性の基準に適合していると認めた」「関電が基準値振動策定にあたって行った震源断層の長さなどの各種パラメーターの設定は、十分保守性を有すると認められる」などとした。

 脱原発弁護団全国連絡会は「科学者の声を無視した決定で、不当な決定」と反発。この案件が「前原子力規制委員会委員長代理で大飯原発の基準地震動審査の責任者だった島崎邦彦東京大学名誉教授の指摘に基づき運転差止めを求めた事案であり、東京大学地震研究所の纐纈一起教授も同様の指摘をしている。またこの指摘を否定する学者は1人として現れていない」と安全性に問題があることを強く主張する声明を出した。

 また「大阪高裁は単に規制委員会が新規制基準に適合するとの判断をしていることをもって、主張立証責任を住民側に押し付けた。特に何の根拠も示すことなく、関西電力の震源断層モデルのパラメーターの設定が十分保守性を有すると判断してしまった」と決定する判断過程に問題を提起した。

 大飯原発3号機は2018年3月から、4号機は同年5月から再稼働しており、今後も運転を継続する。ただ、大飯原発3、4号機を巡ってはテロ対策施設が設置期限の2022年8月24日までにできていなければ、この日以降、3号機、4号機は運転停止になる。(編集担当:森高龍二)

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