これだけ知っていれば、もう戸惑うことなし/F1基礎用語辞典(2)

 F速やF1中継でよく目に&耳にする用語を総括。「あいうえお」順の辞典形式でまとめてみた。

・カウンターステア
車両の進行方向と逆にステアリングを切ること。オーバーステアが出てスピンモードに陥った際などに行う操作。

・クラッシュテスト
F1世界選手権を統括するFIAの安全基準を満たしているかどうか確かめるために行う衝突試験。ノーズを兼ねたフロントクラッシャブルストラクチャーやリヤのクラッシャブルストラクチャーに対して行う。

・グリーン(路面)
走行セッション開始直後や雨あがりなど、路面にタイヤラバーが載っておらず、滑りやすい状態を指す。

・クリーンエア
前に空気の流れを乱すマシンが走っていない状態を指す。乱れた空気の中では本来の空力性能を発揮できず速く走れない。空気の乱れがないクリーンエアの状態で走ると、本来の空力性能を発揮できる。レースでトップの車が有利なのはこれが理由。

・グリップ
タイヤが路面を捉える力のこと。グリップが強いほど、コーナー通過速度は速くなり、ラップタイム短縮につながる。グリップは垂直荷重に比例するので、ダウンフォースを増やすとグリップは高まり、ラップタイム短縮につながる。

・クリッピングポイント
コーナリング中に車両が最もコーナーの内側に接近するポイントのこと。クリッピングポイントまでがコーナーの進入、クリッピングポイントを過ぎると、コーナーの立ち上がりとなる。

・クルー
チームのスタッフのこと。

・コースレコード
各サーキットで記録された、それまでの最速タイム。予選とレースで別々に取り扱われる場合が多い。

・コンストラクター
直訳すれば製造業者だが、F1ではシャシー製造業者を指す。F1の場合はチームが独自にシャシーを設計・製造しなければならず、コンストラクターは実質的にチームを指す。

・サイド・バイ・サイド
2台の車両が横に並んで競り合っている状態。

・シェイクダウン
新車を初めて走行させること。車載機器やシステムがきちんと機能するかどうか確かめる目的で行う。

・スーパーライセンス
F1に参戦するドライバーに必要な免許のこと。他カテゴリーの年間ランキングに応じてポイントが配分されており、過去3年間で40ポイントを獲得していることが発給の条件。FIA-F2の年間ランキング1~3位、インディカー・シリーズの年間1位のドライバーには、一気に40ポイントが与えられる。低年齢化に歯止めをかけるため2016年に年齢制限が設けられ、18歳以上でなければ取得できなくなった。同時に、「自動車運転免許を持っていること」「過去2年以上、ジュニアシングルシーターに参戦したこと」などの条件がある。これらの制限が設けられたことにより、マックス・フェルスタッペンのように17歳でF1にステップアップすることは不可能になった。

・スターティンググリッド
スタートに向けて車両を止める位置のこと。白線で記してあり、予選順位に従って先頭から順に並ぶ。奇数グリッドと偶数グリッドは互い違いに並んでおり、各グリッドの間隔は8m。前後(たとえばポールポジションと3番手)は16m離れている。

・スティント
レース中に走行する「期間」のことで、スタートから最初のタイヤ交換までを「第1スティント」、最初のタイヤ交換から次のタイヤ交換までを「第2スティント」と表現する。

・ストーブリーグ
ドライバーの契約更改や移籍、チームとパートナーやスポンサーとの契約が行われる時期のこと。他のプロスポーツが由来なので、選手やチームの契約にまつわる話題は冬に行われることが多く、それゆえ「ストーブ」リーグと呼ばれるが、F1の場合はシーズンが半ばを過ぎた頃、すなわち夏場に活発になる。

・スナップ
前触れもなく急に向きを変える動きを指す。「スナップオーバーステア」はよく用いる表現。唐突にリヤが流れ、スピンモードに陥る。

・スリップストリーム(トウ)
前を高速で走る車両が壁となるため、背後にぴたりとつけると空気抵抗が少なくなり、先行車に吸い寄せられるように近づく現象。ストレートで追い抜きを仕掛けるのに、この現象を利用する。インディカー・シリーズなどアメリカのレースでは「ドラフティング」と呼ぶ。

・セクター
サーキットの「区間」。スタート/フィニッシュラインを基点にセクター1、セクター2、セクター3の3つの区間に分け、区間通過タイムなどの計測に利用する。

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