諫早湾内3漁協 合併へ 存続選択 開門問題切り離し

 諫早湾を漁場とする諫早市小長井町漁協と雲仙市瑞穂、国見両漁協が4月1日付で「諫早湾漁協」として合併する方針が30日、分かった。漁業者の高齢化や後継者不足の中、合併で経営基盤を強化する狙い。3漁協は28~30日、それぞれ臨時総会を開き、合併を了承した。

 国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門の開門調査問題を巡り、反対の小長井、国見に対し、瑞穂は2010年、漁場環境の悪化を訴え、賛成に転じた経緯がある。合併に際し、同問題は切り離し、減少が著しい瑞穂、国見の漁業者が生き残る道を選んだ。
 組合員は現在、小長井98人、瑞穂58人、国見41人。このうち、漁業専業の正組合員が瑞穂30人、国見29人にまで減っている。水産業協同組合法では、正組合員が20人未満となった場合、漁協の解散が定められている。
 このため、3漁協は18年1月、合併勉強会を発足、協議を進めてきた。3月の調印式を経て、瑞穂、国見は解散、小長井が「諫早湾漁協」に名称変更する予定。
 小長井町漁協の新宮隆喜組合長は「早急に漁場環境の悪化の原因に対応し、有明海再生に向けた水産振興に取り組む」と取材に答えた。瑞穂漁協の坂本利貞組合長は「開門問題は中立を維持したい。開門の賛否だけでは先に進まない。現状を受け入れつつ、必要な対策を講じる」、国見漁協の酒井八洲仁組合長は「諫早湾を囲む仲間として漁場の活用、観光策などを考えたい」と述べた。

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