FIA-F2:ルノー育成の周冠宇が継続、ルンガーはフル参戦。メーカー育成ドライバーの争いに注目

 2020年シーズンのFIA-F2を戦うドライバーラインアップが続々と決定している。周冠宇が2020年もユニ・ヴィルトゥオーシから参戦することが決定し、ARTグランプリには、同チームからFIA-F3に参戦していたクリスチャン・ルンガー加入する。

 2019年にルノー・スポール・アカデミーへ加入した周冠宇は、中国出身のドライバーとして初めてF1のワークスチームでテストドライバーという正式な役割に就いた。

 F2初年度の2019年は表彰台が5回、獲得ポイントは140という成績を残し、ルーキードライバーのなかで最上位となるドライバーズランキング7位を獲得した。また第9戦スパ・フランコルシャンで発生した事故により命を落としたアントワーヌ・ユベールの実績を讃えて創設された『アントワーヌ・ユベール・アワード』を受賞。この賞は、その年のベストルーキーを称えるために贈られるものだ。

 F2で2年目のシーズンを迎える周冠宇は、ユニ・ヴィルトゥオーシの公式サイトで次のようにコメントを発表した。

「もう一度ユニ・ヴィルトゥオーシ・レーシングとサインをすることが僕の最優先事項だった。ルーキーのなかでトップの成績を残したことは、僕にとって本当に特別なことだ。チームには大きなポテンシャルがあるということを示しているし、僕たちは本当にうまく仕事をしてきている」

「ルーキーとしての最初のシーズンは簡単ではなかったけれど、トラックを離れてファクトリーへ戻ってもチームは僕を大いに助けてくれた。昨シーズンのことについては感謝しきれないし、今シーズン(2020年)に向けてはシーズンが始まること、そして表彰台に戻ることを楽しみにしている」

「またルノーF1チームとルノー・スポール・アカデミーに残れることを本当に嬉しく思う。2019年に協力できたことは非常にポジティブなことだし、F2に関しても彼らはトラックやコンディションについて僕にたくさんの情報を提供して支援してくれた」

「『R.S.17』(2017年型マシン)でのテストやシミュレーター作業はすべてが本当にすばらしいものだった。だから僕たちはお互いを大いに信頼してきているし、彼らとのパートナーシップにはとても満足している」

2019年FIA-F2第3戦バルセロナ 3位に入賞した周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)

■メーカー/チームの育成ドライバーが多数参戦予定のF2

 また周冠宇と同じくルノー・スポール・アカデミーに所属するルンガーがARTグランプリからF2にフル参戦する。2017年にアカデミーに加入したルンガーは、2019年にARTグランプリからFIA-F3にデビュー。優勝が1回、表彰台とポールポジションが2回ずつという結果を残し、ランキング6位という結果を残した。

 2019年はF2最終戦アブダビにトライデントからスポット参戦も果たした。2020年のシリーズフル参戦を前に、ルンガーはチームの公式サイトでコメントを発表した。

「ARTとともにF2にステップアップをして、今年はチャレンジングな年になるだろう。チームに残ることができて嬉しいし、彼らを信じている」

「F2のレースがどのようなものかを経験することができたので、(2019年に)アブダビでF2に出場できてラッキーだった。僕にはベストチームがついているので、2020年は成功を収めることができるだろうと自信を持っている」

「僕の目標はチャンピオンシップを勝ち獲ることだ。ARTとともにF2という次のステップに進んだことについて、僕のスポンサー、僕に投資してくれた人々、ルノー、家族、マネージャーに感謝したい」

 2020年シーズンのF2には、メーカーやチームの育成プログラムに所属するドライバーが数多く参戦することになる。フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)からはカラム・アイロット、マーカス・アームストロング、ジュリアーノ・アレジ、ミック・シューマッハー、ロバート・シュワルツマンの5名、ルノーからは上述の通り周冠宇とルンガーの2名だ。

 そしてレッドブルからは角田裕毅が、ウイリアムズからはダニエル・ティクトゥムが参戦する。今年のF2では、メーカー/チーム内でのF1昇格をかけた争いも注目ポイントのひとつだろう。

2019年FIA-F3第5戦ハンガロリンク レース1 初優勝を挙げたクリスチャン・ルンガー(ARTグランプリ)

■2020年FIA-F2 ドライバーラインアップ(1月30日時点)

No. Driver Team

1 ショーン・ゲラエル ダムス

2 ダニエル・ティクトゥム ダムス

3 周冠宇 ユニ・ヴィルトゥオーシ

4 カラム・アイロット ユニ・ヴィルトゥオーシ

5 マーカス・アームストロング ARTグランプリ

6 クリスチャン・ルンガー ARTグランプリ

7 角田裕毅 カーリン

8 TBA カーリン

9 TBA カンポス・レーシング

10 TBA カンポス・レーシング

11 ルイ・デレトラズ チャロウズ・レーシング・システム

12 ペドロ・ピケ チャロウズ・レーシング・システム

14 フェリペ・ドルゴヴィッチ MPモータースポーツ

15 TBA MPモータースポーツ

16 アーテム・マルケロフ BWT HWAレースラボ

17 ジュリアーノ・アレジ BWT HWAレースラボ

20 ミック・シューマッハー プレマ・レーシング

21 ロバート・シュワルツマン プレマ・レーシング

22 TBA トライデント

23 TBA トライデント

24 TBA ハイテックGP

25 TBA ハイテックGP

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