IGTC:2019年バサースト12時間デビューウインのEBM。連覇に向け「万全の準備ができた」とバンバー

 アール・バンバー・モータースポーツ(EBM)の共同オーナーであり、2019年は突貫作業でのデビューにもかかわらず初参戦初勝利を飾ったアール・バンバーは、2020年のバサースト12時間耐久レースに向け「万全の準備ができた」と語り、連覇に意欲をみせている。

 ポルシェのファクトリー契約ドライバーとして活躍し、弟のウィル・バンバーとともにEBMチームを運営するアール・バンバーは、2019年のバサースト12時間で衝撃的なデビューウインを記録。名門マンタイ・レーシングのメンバーを中心に、レース数週間前に結成された”急造チーム”で完全勝利を果たし、2020年はディフェンディングチャンピオンとしてマウントパノラマへと戻って来た。

 ただし前年度の慌ただしさとは異なり、この週末を戦うクルーは30名以上がEBMの所属メンバーで構成され、エースのバンバーとローレンス・バンスール、そして新規加入のクレイグ・ラウンズの3名で連覇達成を狙っている。

 地元オーストラリアで数々の記録を打ち立て、2014年と2017年にはフェラーリ(458、488GT3)でバサースト12時間を制覇、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーでは3度のドライバーズチャンピオンを獲得したラウンズの加入は「チームにとっても大きなプラスになる」とバンバーは言う。

「僕たちにはいくつかお気に入りのビッグレースがあるけれど、今回はほとんどが僕らのチームメンバーだけで戦うことになる」とバンバー。

「昨年のバサースト以来、僕たちはずっと懸命に準備を進めてきた。2020年はバサーストを皮切りにGT3プログラムを大きく拡張することもあり、これがキックオフのイベントになるんだ」

「2019年よりも準備は整っていると思う。昨年は明らかに最後の最後で準備を急ぎ、慌ただしい参戦になったけれど、ポルシェからもマンタイからもいいサポートが得られた。でも今回は1年がかりで取り組んできたわけだし、万全の状況が整ったよ」

 一方、チーム新加入の“レジェンド”ことラウンズは、2018年限りでVASCのフルタイムドライバーからは退いているものの、2019年は耐久カップ登録ドライバーとしてVASCの長距離戦3イベントにエントリー。ジェイミー・ウインカップとのペアでトリプルエイト・レースエンジニアリング(レッドブル・レーシング・オーストラリア)のホールデン・コモドアZBをドライブし、見事にエンデューロ・カップ王者に輝いている。

自らのチームEBMで2年目のバサースト12時間に挑むアール・バンバー
栄光の”カーNo.1″を掲げ、現地のパレードに参加したEBMのポルシェ911GT3R

「ローレンスと僕がマシンに乗るのはとてもいいことだし、クレイグが僕たちのクルマでポルシェ・ファミリーに加わってくれることも本当に楽しみだ。彼はこの国を代表するドライバーで、長い間ポルシェに乗りたいと願っていた」

「僕が思うに、彼はいつかル・マン24時間にもチャレンジするだろうし、こうしてポルシェ・ファミリーに参加して、物事を試してみるのはいいステップだと思う。彼はまだ911GT3Rをテストしていないのでマウントパノラマで初体験になるけど、ご存知のとおり彼はあのトラックの主みたいなものだ。だから911を習得するだけで充分だ」

 そのため、バンバーはラウンズに対しバサースト入り前にインフォメーションを提供し、「彼の情報をアップデートしておいた」という。

「彼に911に関する最新の情報を提供し、テストを賢く進めるためにどうすべきか、という話をして彼の頭の中をアップデートしておいたんだ」と続けたバンバー。

「僕が思うに、一番重要なことは一度ドライブしてマシンを感じとってもらい、そこから判断してもらうことだ。もちろん、彼は多くの経験を積んでいる。でも911は、彼がこれまでドライブしたアウディやフェラーリや昨季のメルセデスといった、他のどのGT3とも違うんだ」

「それに、彼の“ホーム”でもあるトリプルエイト(88号車メルセデスAMG GT3EVO/ジェイミー・ウインカップ、シェーン-ヴァン・ギズバーゲン、マキシミリアン・ゴッツ組)とライバルになるのも楽しいね。ファンがその対決を受け入れてくれたのもクールだし、すべてを楽しみたいと思っている」

IMSAやWEC、スパなどでも同じみのコンビとなったローレンス・バンスール(左)
新加入のクレイグ・ラウンズ(右)はバサースト12時間で2勝。2019年はVASCのエンデューロ・カップ王者にも輝いている

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