佐々木、奥川にライバル心 U-18から誕生した“ドラ1”4人の気になる現在地

高卒ドラフト1位で唯一キャンプ1軍スタートとなったロッテ・佐々木朗希【写真:荒川祐史】

DeNA・森、阪神・西純、オリ・宮城、中日・石川昂はそれぞれ2軍で土台作り

 ロッテ・佐々木朗希投手、ヤクルト・奥川恭伸投手ら高卒ルーキーたちもそれぞれキャンプ地へと入った。石垣で佐々木朗は合同トレから走り込みやキャッチボールで汗を流した。奥川は新人合同トレ中で確認された右肘の軽い炎症のため、2軍スタート。何もスタートがすべてではない。焦らずにじっくりと調整を進めてほしい。

 高校球界のトップを走っていた選手たちも、それぞれの2月1日のキャンプインを様々な思いで迎える。韓国・機張で戦ったU-18のW杯のメンバーからプロ志望届を提出した14名のうち6名が1位で指名され、13名がプロ入り。他にも名門大学、社会人チームに進み、彼らの背中を追いかけている選手もいる。1位指名を受けた他の4人はDeNAの森敬斗内野手(桐蔭学園)、阪神・西純矢投手(創志学園)、オリックス・宮城大弥投手(興南)、中日・石川昂弥内野手(東邦)。彼ら4人も2軍からキャンプのスタートを切る。

 DeNAの森は、けがなく新人合同自主トレを終え、充実した様子だ。今年中の1軍出場を目標としており「甘くない世界だと分かっている。明確な目標があった方が取り組みもよくなる」と高みを目指していく。ラミレス監督も「うちのチームのいいところは、若い選手からベテランまで結果を出せばチャンスがもらえること」と話しており、目標達成への期待はできそうだ。DeNAのキャンプには特別コーチとして元インディアンスの名手、オマー・ビスケル氏が1、2軍を指導する予定となっており、レジェンドからどのように技術を吸収するかも注目だ。

 阪神の西純は高知・安芸市でキャンプイン予定。新人合同トレでは順調に調整を進め、キャンプに備えた。W杯では投手としてチーム最多の13回1/3を投げ、17三振、防御率1.35。打者としても打率.500(12打数6安打)2本塁打、9打点の活躍で大会本塁打王になったポテンシャルを持っており、プロの空気に慣れれば、球界を代表するプレーヤーになることは容易に想像できる。今年の阪神の新人は全選手が2軍スタート。しっかりと土台を作って、成長を期待したい。

石川昂の魅力は長打力、木製バットの対応はピカイチ

 オリックスの宮城も順調に新人合同トレを終えた。プロで戦っていくために新球に挑戦していく。空振りを取るボールだけでなく、1球で打ち損じさせる変化量の少ないカットボール、ツーシームを習得することで少しでも長いイニングを投げる考えを持って、これからのキャンプを過ごしてく。新人トレ初日には「体力的にきつい部分もあるので。スタミナ面も持続したい。変化を覚えることで新しい投手像ができると思う」と話したように、考えながら投球できる男。高校時代は最速149キロの直球とキレのあるスライダーにカーブ、チェンジアップを武器に打者を圧倒してきた左腕の飛躍も楽しみだ。

 中日・石川昂は打者としての素質を評価され、将来の4番として期待される。2軍のキャンプ地で練習をスタートさせ、これまでも順調に調整を進めてきた。夏の愛知大会敗戦後からすぐに木製バットで練習を始めており、対応力は十分。キャンプインから快音が聞こえるだろう。石川は「打者としての目標は3冠王。大谷翔平選手みたいに、反対方向へのホームランと柔らかいスイングであれだけ飛ばせる選手になりたい」とインタビューでも話しており、この世代を代表するスラッガーへ成長してほしい。

 佐々木朗や奥川だけでなく、高卒新人の逸材たちも土台作りを進めている。DeNAの森には胸に抱く思いがある。「U-18の選手には負けたくないという思い。特に誰、とかはないですが……」と、昨年選出された侍ジャパンメンバーへの闘志を燃やしている。3年後にはプロ入りせずに社会人に進んだ選手、4年後には大学に進んだ選手たちもドラフト候補に名を連ねてくる。それぞれが立つ新たなスタートラインから、球界を盛り上げていくことを期待したい。(Full-Count編集部)

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