台風被害の多摩川緊急整備に191億円 国交省、内水氾濫対策も

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自治体職員を対象とした排水ポンプ車の操作講習会。こうした取り組みも緊急治水対策プロジェクトに位置付けられている=1月29日、横浜市鶴見区

 国土交通省京浜河川事務所は31日、昨年10月の台風19号で深刻な氾濫被害を出した多摩川で、河道掘削を柱とした緊急治水対策プロジェクトを開始すると発表した。2024年度までに191億円を投じて河川整備を急ぐほか、流域の自治体と協力して下水道施設の改良や避難対策の強化に取り組み、洪水リスクの低減を図る。

 対策の中心となる河川整備は、19号の際に上流部で記録的な雨が降った結果、過去最高の水位を記録した中・下流部(河口から38キロ地点まで)の流下能力を高めるのが目的。計17キロ余りの区間で川底などの掘削と樹木の伐採を進め、19号と同規模の増水が起きても多摩川が氾濫しない程度まで流せる水量を増やす。また、住宅の浸水被害が起きた東京都世田谷区玉川地区に堤防を整備し、府中市などにある堰(せき)を改築する。

 被災した護岸などの復旧も含め、19年度中に事業に着手する予定で、同事務所は「なるべく早く、被害の最小化を図りたい」としている。一方、流域の住民から要望の強い遊水地の整備については、「多摩川は勾配がある上、土地の確保も困難」などとして盛り込んでおらず、「今後の検討課題」とした。

 プロジェクトではこのほか、川崎市内で広範囲に被害を及ぼした「内水氾濫」の対策として、雨水を川に排出する下水道管のゲートを遠隔や自動で操作できるようにする。住民が家庭の状況に応じて避難のタイミングなどを決めておく「マイ・タイムライン」の普及にも取り組む。

 一連の対策は、同事務所や流域の自治体が連携して対応するため、昨年12月に設置した部会で検討。おおむね今後5年間で緊急実施する内容を取りまとめた。

 同様のプロジェクトは、19号で流域に大きな被害が出た阿武隈川や久慈川、信濃川などでも行われる。国土交通省は多摩川を含む7水系の対策に計約4200億円を投じる方針。