TOEIC®の満点は何点?満点のレベルや勉強法も紹介

TOEIC®テストの満点は990点であることはよく知られていますが、なぜ切りの良い1,000点ではないのかご存じでしょうか。当記事では、TOEIC®テストの満点が990点である理由をご説明します。さらに、TOEIC®テストで満点を取るのがいかに価値があることなのかをデータとともにご説明します。そしてこれから英語の学習を始めようという方に向けて、TOEIC®満点取得者の勉強法やおすすめの英語検定を目的別にご紹介します。

TOEIC®テストのスコアと英語レベル

TOEIC®試験を運営するIIBC(一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)が作成したTOEIC®スコアとコミュニケーション能力レベルとの相関を表した表を、簡単にまとめたのが、次の表です。

【TOEIC®テストスコアのレベルと評価】

TOEIC®スコア(点)	レベル	評価
860~990	A	経験の範囲内であれば専門外の分野に関しても、十分な理解とふさわしい表現ができる。語彙・文法・構文を正確に把握している。英語を母国語としている人々のレベルではないが、流暢にコミュニケーションできる。
730~855	B	通常の英会話が完全に理解できる。語彙・文法・構文上の誤りがあるが、意思疎通や業務の妨げになるレベルではない。応答が早い。
470~725	C	通常会話は要点を理解できる。基本的な語彙・文法・構文は身についている。表現力は不足している。応答に支障はない。
220~465	D	ゆっくり、繰り返し、言い換えをしてもらえれば、簡単な会話は理解できる。語彙・文法・構文が不足している。身近な話題ならば応答できる。
10~215	E	簡単な英会話も理解できない。単語を並べるだけで、実質的なコミュニケーションができるまでに至っていない。

参考

「上場企業における英語活用実態調査」報告書|TOEIC,P12

つまり、TOEIC®スコア990点とはテストの満点で、ネイティブに近い英語力を持っている証となります。

TOEIC®満点は990点!なぜ1,000点ではないの?

なぜTOEIC®満点は990点であって、切りの良い1,000点ではないのでしょうか。まず、TOEIC®テストの問題内容を知り、その上で1,000点でない理由を考えましょう。

TOEIC®の問題内容と問題数

TOEIC®の問題内容と問題数をまとめたのが次の表です。

【TOEIC®の問題内容と問題数】

セクション	問題内容	問題数
Listening Part1	写真描写問題	6問
Listening Part2	短文応答問題	25問
Listening Part3	長文会話問題	39問(3×13問)
Listening Part4	長文説明問題	30問(3×10問)
Reading Part5	短文穴埋め	30問
Reading Part6	長文穴埋め	16問(4×4問)
Reading Part7

(注)

(注)Reading Part7は、細かく分けると次のような問題構成になっています。

  • シングルパッセージ:1つの文章を読んで、2~4つの設問に答える。
  • ダブルパッセージ:2つの文章を読んで、5つの設問に答える。
  • トリプルパッセージ:3つの文章を読んで、5つの設問に答える。

参考

テストの形式と構成|TOEIC

TOEIC®は1問5点の配点なので、合計問題数が200問あることから、本来なら1,000点満点であることが分かります。そこでより深くなるのが「TOEIC®満点は990点」の謎です。

Q:なぜTOEIC®満点は990点なの? A:相対評価だから

TOEIC®の点数は1問5点といわれていますが、これは絶対的なスコアではありません。

TOEIC®はテストごとに標準偏差を算定しています。これは、全受験者のスコアが平均点からどのくらいの範囲でばらついているのかを表す数値で、スコアの分布によってTOEIC®テストの難易度が分かります。この標準偏差をもとにスコアを計算することになるため、正解数がそのまま点数になるわけではないのです。

つまり簡単にいうと、TOEIC®のスコアは偏差値なのです。

TOEIC®が相対評価点を採用しているのは、開催されるテストごとの結果に公平性を保つためです。そして、TOEIC®の満点が990点なのは、相対評価のために計算したスコアのずれを補正するために10点幅を持たせたことに起因します。

TOEIC®が相対評価点を採用していることから、難易度の低かった回は全問正解でも990点を取れなかったり、反対に難易度の高い回は数問不正解でも990点を取れることがあります。

徹底検証!TOEIC®満点はどのくらいすごいのか?

TOEIC®テストで満点を取ることはどのくらいすごいのでしょうか。TOEIC®満点スコアを取った人の割合や社会的評価などから徹底検証してみましょう。

Q:TOEIC®で満点を取る受験者の割合は? A:0.15%以下

第245回(2019年11月実施)のTOEIC®テスト平均スコアは585.5点です。TOEIC®テストで895点以上のスコアを取る人は上位3.3%で、総受験者数87,608人中2,887番以内に位置しています。

そのうち、満点スコアを取る人の割合は、テストごとに異なりますが、全体の約0.05%~0.15%前後ぐらいといわれています。

参考

平均スコア・スコア分布 詳細 (第245回)|TOEIC

TOEICの満点はいくつ?難易度(レベル)やおすすめの単語や2つの勉強法(2019.8.1)|MYスキ英語

Q:TOEIC®満点の人の英語レベル A:ほぼネイティブ

TOEIC®スコアは相対評価点なので、990点取得者の中には、ギリギリ点数を取った人も余裕を持って点数を取った人も含まれています。しかし、余力の有無にかかわらず860点以上のスコアを取っている以上、ネイティブに近い英語の聞き取り力と読む力が身についていることは確かです。

Q:TOEIC®満点の社会的評価 A:年収・役職アップ

近年、TOEIC®スコアを企業の人事評価基準として利用するのは一般的になっています。実際にどのくらいのスコアを取れば、昇給・昇進の判断材料とされるのかをまとめたのが次の3つの表です。

【企業が社員に期待するTOEIC®スコアの範囲と平均スコア】

	TOEIC®スコア範囲	TOEIC®平均スコア
全社員	600点
部門別	国際部門	660~840点	750点
営業部門	535~765点	650点
技術部門	520~715点	620点
ケース別	海外赴任がある場合	605~785点	695点
海外出張がある場合	570~780点	675点

【企業が社員採用時に期待するTOEIC®スコアの範囲と平均スコア】

	TOEIC®スコア範囲	TOEIC®平均スコア
採用応募時	625点
採用方法別	中途採用社員	610~815点	710点
新入社員	465~670点	565点

【企業が社員の昇進・昇格時の要件とするTOEIC®平均スコア】

	英語を使用しない部署	英語を使用する部署
部長	580点	655点
課長	550点	630点
係長	545点	600点
役員	525点	665点
主任	520点	-

参考

「上場企業における英語活用実態調査」報告書|TOEIC,P10・12

上記3つの表からTOEIC®満点990点を取れば、企業への就職を有利に進めることができることが分かります。また、昇給・昇進も可能で、国際部署などに転属を希望した場合でも要望が通りやすくなることも分かります。

TOEIC®満点990点取得者は、かなり高い社会的評価を受けられるので自信を持ってビジネスシーンで活躍できる人材になり得ます。

Q:TOEIC®満点の有名人は? A:お笑い芸人「石井てる美」

TOEIC®満点990点を取得した有名人は、東京大学出身のお笑い芸人の石井てる美さんです。このほかにTOEIC®満点990点を取得した有名人を検索しても出てこないことを見ると、いかにTOEIC®満点990点を取得することが難しいかが分かります。

石井てる美さんがどんな方かご興味のある方は、下記参考をご覧ください。

参考

王道ルートでなくても、チャレンジを!工学部 石井 てる美|東京大学

TOEIC®満点芸人 石井てる美さん(前編) 「英語を学ぶなら絶対に基礎が大事」(2014.1.7)|Cheer up! English

TOEIC®満点芸人 石井てる美さん(後編) 「エリート街道を捨て、夢を選んだ理由」(2014.1.14)|Cheer up! English

TOEIC®対策!オックスフォード大学推奨の勉強法

TOEIC®はそのテストの特性から対策が必要といわれます。そこで、イギリスの最高学府であるオックスフォード大学の出版局(Oxford University Press)がTOEIC®テスト対策を指導する教員向けに書いた指南文書「A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success」をもとに、TOEIC®の勉強方法を模索してみましょう。

オックスフォード大学が推奨する勉強方法

Oxford University Pressが推奨する、教師が生徒に教えるTOEIC®テスト対策の初歩を簡単にまとめたものが次の表です。

【教師が生徒に教えるTOEIC®テスト対策の初歩】

準備	勉強を始める前に、TOEIC®テストを受けること。生徒の現在のTOEIC®スコアに近い参考書を使うこと。学習スケジュールを立てること。
受験スキル	テスト形式、手順、質問の種類に精通していること。リーディングの時間管理を効果的に行うこと。リスニングとリーディングの選択肢をプレビューして、聞き取ることと読み取ることを限定・予測すること。多肢選択式の問題に含まれる不正解解答の一般的な形式を認識できるように注意すること。
言語スキル	さまざまな国の英語アクセントを知っておくこと。日常英会話で使われる俗語の発音も知っておくこと。英会話は、場面によっては正しい文法に沿っていないことを認識しておくこと。幅広い語彙力を単語だけでなくフレーズとして学習すること。

参考

A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success|Oxford University Press,P6~8

TOEIC®テスト対策は勉強を始める前に、まず現在の英語力を知ることから始めます。そうすることで、TOEIC®満点990点を取るまでに欠けている英語力の不足分量を正しく知ることができます。その後、学習スケジュールを立てて、基礎から応用、そして発展へと英語力レベルを上げていきましょう。

スコア950点に到達するまでに必要な平均勉強時間

Oxford University Pressが推奨する、TOEIC®950点を取るために必要な平均勉強時間は次のとおりです。

【TOEIC®950点を取るために必要な平均勉強時間】

現在のスコア	必要な勉強時間
250点	1,750時間
350点	1,550時間
450点	1,300時間
550点	1,050時間
650点	825時間
750点	600時間
850点	325時間

参考

A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success|Oxford University Press,P6

目標スコアがTOEIC®990点満点の場合、上記表よりもさらに多くの勉強時間が必要です。

日本人は日常で英語を使う機会が少ない上に、日本語と英語の文法が違うため、世界の中でも英語を習得するのが難しい国だといわれています。そのため、Oxford University Pressの推奨勉強時間はあくまで英語圏の方の目安と考え、日本人である私たちはさらに多くの努力をする必要があると認識しましょう。

参考

日本人が英語の習得に苦労する3つの理由(2018.9.21)|カーディズム英語タイムズ

高得点を狙う場合なら勉強の時間配分が大事

Oxford University Pressが推奨するTOEIC®テスト問題別の勉強優先順位は次のとおりです。

【TOEIC®の問題と推奨優先順位】

セクション	勉強時間配分
Listening Part1	5%
Listening Part2	10~15%
Listening Part3	15~20%
Listening Part4	20~25%
Reading Part5	5~10%
Reading Part6	5~10%
Reading Part7	25~30%

参考

A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success|Oxford University Press,P9

Oxford University Pressの勉強時間配分は、長文問題に重点を置くよう推奨していることが分かります。TOEIC®990点満点を取るということは、既に英語の語彙・文法・構文を正確に把握していることを前提としているレベルであるため、さらなる高得点を取るためには、長文問題でミスをしない練習を積み重ねる必要があるでしょう。

こうしてTOEIC®満点を取った!経験者から学ぶ勉強方法

TOEIC®で990点満点を取得した人の勉強方法に共通するのは圧倒的な勉強量です。分かりやすく公式に直してみましょう。

【TOEIC®満点を取った経験者に共通する勉強公式】

TOEIC®990点満点=現在の英語力+不足英語力(学習密度×勉強時間×テスト対策)

まず現在の英語力を知り、990点満点までどの程度足りないのかを把握します。その後、英語を使わなければならない環境に自分を追い込み、緊張感をもって学習に取り組みましょう。

勉強時間の目安について、神田外語学院のTOEIC®専任講師である加藤武彦先生は次のように述べています。

「600点までは100点UPに200時間」、「600点以上は100点UPに300時間以上」の勉強時間が目安として必要

(引用元:過去98回TOEICで満点を取得した教師直伝!レベル別勉強法(2019.12.9)|神田外語学院)

つまり、TOEIC®スコアが現在600点である場合は、990点満点に到達するまでに約1,200時間以上の勉強時間が必要だということです。既にご説明したOxford University Pressが推奨する勉強時間に比べて格段に多くの時間が必要だということが分かります。

そして、テスト対策は公式問題集を使い、2時間計って模試を通して解く練習を積み重ねることです。そして、リーディング問題よりもリスニング問題のテスト対策を中心に取り組んだ経験者が多いのも特徴的でした。

下記参考に、体験者の勉強方法の詳細が載っていますので、TOEIC®満点を目指したい方はぜひご一読ください。

参考

TOEIC満点(990点)取得者に勉強方法やメリットを聞いてみた!(2019.10.25)|サウスピーク

TOEICリスニングで突然スコアが上がる最短勉強法(2018.1.26)|MYスキ英語

過去98回TOEICで満点を取得した教師直伝!レベル別勉強法(2019.12.9)|神田外語学院

TOEIC990~トーイック満点の狙い方~|マイヤー英会話

たくさんある英語検定。どれを受けたらいい?

一般的に「TOEIC®テスト」というと「TOEIC® Listening & Reading」を指します。そのため、TOEIC®で本当の英語力である4技能(聞く・読む・話す・書く)を測りたい場合は「TOEIC® Speaking & Writing Tests」を追加して受験する必要があります。

このことから、TOEIC®は大学入学共通テストにおける英語の民間試験に参加することを取り下げています。ただし、大学入学共通テストへの英語の民間試験の導入は2020年度見送られることが決定したため、2020年1月現在、大学入試で英語外部検定を利用するかどうかは、各大学の入試制度によって異なります。

では、英語4技能を一度に測ることができる民間の検定試験をご紹介しましょう。

【英語4技能を測る検定試験一覧】

ケンブリッジ英語検定実用英語技能検定(英検)GTECInternational English Language Testing System(IELTS)Test of English for Academic Purposes(TEAP)Test of English for Academic Purposes Computer Based Test(TEAP CBT)TOEFL iBTテスト

(資格・検定試験 比較一覧表|英語4技能試験情報サイトより筆者作成)

将来的に、上記7検定が大学入試共通テストで利用できる民間の英語外部検定となる見込みです。では、今後大学受験に向けて英語4技能を磨きたい方は、上記7つの検定のうち、どの英語検定の受験を目指したら良いのでしょうか。

小中高生は「まず英検®。次いでTEAPとGTEC」

大学受験パスナビが、大学側が入試に利用する主な英語外部検定の採用率を調査したところ上記9検定の利用率にさほど差はありませんでした。

しかし、受験生が入試で利用した(または今後する予定の)主な英語外部検定の比率は、英検®が94.8%と突出して利用されていることが分かりました。

参考

「英検®、TOEFL®、TOEIC®、TEAP…」 入試に使える【英語外部検定】 どれを受けたらいいの?|大学受験パスナビ

大学受験を目指して英語検定の勉強を始める場合は、ほかの受験生との学力を比較する判断材料にも使う必要があるため、大多数の受験生が利用する英検®を受験するのがおすすめです。その後、余力があればTEAPとGTECを受験しても良いでしょう。

就職活動するなら「まずTOEIC®。次いで英検®」

英語4技能を一度に測れないTOEIC®テストではありますが、就職活動では評価基準として最も注目されています。これはTOEIC®はテスト内容にビジネスシーンを想定した問題が多く含まれているのが最大の理由です。そのため、就職活動を行う場合は、上記7検定よりもまずTOEIC®の勉強をするのがおすすめです。

小中高校で長年勉強してきた英検®は日常シーンで使う英語力を問う検定ですが、就職活動に利用することはできます。就職活動やビジネスシーンでアピールできる英検の級数は2級以上です。英語力があることをアピールしたい場合は、さらに上の級を狙うことをおすすめします。

まとめ

日本語を母国語とする人がTOEIC®テストで満点の990点を取るのは、並大抵のことではありません。しかし逆に言えば、それだけ価値のあることだということです。外資系ではない一般企業であれば、TOEIC®スコアが800点あれば社会的に高い評価を得られます。これからTOEIC®テストの勉強を始めようという方は、ハイスコアを目指して頑張ってください。

参考

TOEIC満点は何点?完全攻略するすごさとは(2019.9.12)|airvip

TOEIC満点(990点)取得者に勉強方法やメリットを聞いてみた!(2019.10.25)|サウスピーク

TOEICスコアは、英語スキルの目安になるの?TOEIC満点が教える本物の実力をつける学習法(2019.9.26)|リクナビNEXTジャーナル

就職に有利! おすすめ英語資格まとめ|転職Hacks

【英検は就職に有利なのか】アピールできる級やポイントをご紹介(2019.1.28)|就活の未来

実は受験生ファースト? TOEICが大学入学共通テストから撤退した真の理由|AERAdot.

英語“4技能”の評価など大学入試の在り方 1年かけて検討へ(2020.1.6)|NHK NEWS WEB

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