『江戸前の旬』原作者が語る「アジは獲りたての匂いを味わえ」

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マンガ雑誌『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で、1999年から今も連載が続く、“老舗” の寿司漫画『江戸前の旬』。寿司の具である “タネ” のエピソードを中心に、すでに100巻が発売されている。原作者の九十九森先生が、「寿司ウンチク」を存分に語ってくれた。

「寿司屋はだいたい、『匂いが大事』って言いますね。最初はよくわからなかったですし、いまだに白身はよくわからないんですけど(笑)。

匂いで一番ものの良し悪しがわかりやすいのは、アジです。食べ比べていくと、なんともいえない、独特の香りがあるんですよ。光もののなかでも、一番ですね。

以前、新潟に行ったときに、佐渡の魚を使っているお店があったんですよ。朝仕入れたのをそのまま、夕方さばいて出しているんですけど、そこのアジはものすごくいい香りで、印象的でした。

白身にせよマグロにせよ、魚は寝かせたほうが旨味が出て美味しくなるものが多いですが、アジは新鮮なままでも寝かせても、どちらもウマいです。

1年じゅう獲れるタネですが、夏から秋にかけて太りはじめる。有名な産地は、九州の出水。関東だと、神奈川の小柴のものがいいですね」

匂いが大切なのは、寿司を支える “名脇役” も同じだ。

「巻き物や軍艦などに使う海苔も、大事な味わいのひとつです。全体的にいえることとして、ウマいのは厚みがあるもの。

地域差でいえば、東京は焼き海苔です。食べた瞬間パリッとするのがいい。一方、大阪とか九州は、焼いていない干し海苔。口の中でぐちゃぐちゃして、噛み切りにくいタイプで、太巻きなんかに合うんです。だから、干し海苔を軍艦とか細巻きで出されると、『ちょっと違うな』思いますね。

あと、東京だと『焼き海苔のほうが香りがいい』と言うんですが、名古屋や九州の人は『干し海苔のほうが香りがいい』といって焼かないお店が多い。それも地域による違いですよね。私は絶対的に焼き海苔のほうが、いい香りがすると感じます」

つくもしん
青森県出身 漫画原作者 作画担当のさとう輝先生とコンビで週刊漫画ゴラクで連載中『銀座「柳寿司」三代目 江戸前の旬』、スピンオフ作品の『寿司魂』『旬と大吾』『ウオバカ!!!』などを執筆。メディアへの出演は、連載20年で「ほとんどない」そう

(C)九十九森/さとう輝・日本文芸社

※『江戸前の旬DELUX』1巻が、日本文芸社より発売中
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