「開かず」のJR南武線踏切 賢く開閉、遮断時間1時間に8分短縮へ

「開かずの踏切」とされているJR南武線の平間駅前踏切=川崎市中原区(画像の一部を修正しています)

 朝夕を中心に“開かずの踏切”となっているJR南武線「平間駅前踏切」(川崎市中原区)の遮断時間が、1時間あたり8分程短縮される見通しになった。JR東日本横浜支社が2020年度末をめどに遮断機の新システムを導入することを公表。平間駅の停車列車と通過列車を判別した上で効率よく開閉することが可能となり、不便な状況の解消へ向け一歩を踏み出す。

 同支社が導入予定の新システムの名称は「賢い踏切」。従来は同駅に停車する列車と通過する快速列車を区別せずに遮断機を開閉していたが、これを識別することで同駅に停車する下り列車の警報開始点を遅らせることが可能となった。

 現在1本当たり2~3分程度を要している遮断時間が、27秒ほど短縮される見込みという。新システムの導入には平間駅の停車位置を10メートル川崎寄りに変更する工事が欠かせず、同支社は完了後に新システムを稼働させる。

 同支社によると、同踏切は午前8時台のピ-ク時に48分間も遮断された状態が続き、地域住民から苦情も出ていた。同駅の改札口は東側に1カ所あるのみで、西側から乗車するためには駅北側にある同踏切か、駅南側にある階段状の歩道橋を渡る必要がある。そうした構造上の要因もあり、危険横断の事例も後を絶たなかった。

 近隣に住む女性によると、駅に電車が停車しているのが見え、待ちきれず強引に踏切を強引に突破する人が少なくないという。近くに住む男性は「歩道橋を利用すると踏切を渡るより5分以上多く掛かる。階段もあり利用者は少ない」と漏らす。

 市と同支社、中原署は昨年9月、連名で踏切付近4カ所に看板を設置。「この踏切で無謀横断が多発しています危険鳴ったら渡るな!」と注意し、マナーの向上を呼び掛けていた。

 市は2014年度から、同踏切を含む矢向-武蔵小杉間で連続立体交差事業に取り組み、高架化を目指しているものの実現のめどは立っていない。既に供用されている武蔵小杉-武蔵新城間の高架化には約20年を要しており、「同じくらいの期間は要するのではないか」と市建設緑政局。そんな中での状況の改善に、「JRの対応に感謝したい。根本的な解決に向けて1日も早く高架化を実現させたい」と話す。

 同支社は「南武線には他にも遮断時間の長い踏切はある。順次、可能な限りの対策を講じて解消に努めたい」としている。

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