青森県で絶滅したとみられていたニホンジカ/新郷の村道で大群、スマホで村民パチリ/個体増加の可能性

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新郷村に出現したニホンジカの群れ=1月29日、スマートフォンで撮影(佐藤さん提供)

 新郷村で1月下旬に青森県では珍しいニホンジカ十数頭の大規模な群れが現れたことが3日、関係者への取材で分かった。専門家は撮影された画像でメスの集団であることを確認。今季の暖冬傾向と、針葉樹の林が越冬場所となる付近の環境から「冬場の死亡率が低下し、個体数がさらに増加する可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。

 ニホンジカはこれまで青森県では絶滅したとみられていたが、近年は各地で目撃情報が相次ぎ、農作物被害や生態系への影響が心配されている。県は昨年、「絶滅」扱いを見直し「要調査野生生物」に変更する方針を固めている。

 群れが現れたのは1月29日、新郷村戸来の大畑地区と川代地区を結ぶ村道。同村の農業佐藤誠さん(45)が、数十メートル離れた車中から手持ちのスマートフォンで撮った。最初は車の音を気にするそぶりもなくのんびりした様子だったが、車が近づくとガードレールを越えて崖下に逃げたという。

 ニホンジカの生態に詳しい北里大学獣医学部(十和田市)の岡田あゆみ准教授によると、メスの集団は基本的に母と子、若いオスを含む母系群で構成されるが、今回の群れは「一つの母系群としては個体数が多すぎ、複数の血縁群がまとまって行動しているものと思われる」と説明。集団行動の理由を「積雪が苦手なので、除雪された道を選び群れで行動しているのではないか」と推測した。

 一方、「青森県のような積雪の多い地域では越冬場所が限定されるはず。場所の同定で効率的な捕獲が可能になるかもしれない」とも助言した。

 佐藤さんは「群れを見て、シカが増えていることを実感した。繁殖力が強いらしいのでこの群れは氷山の一角なのかもしれない」と話していた。

 県自然保護課によると、2019年度のニホンジカの県内目撃情報は昨年12月31日現在で181件251頭に上っている。