大阪府が18歳未満のセックスを禁止に!? さらにスマホで未成年に「快楽のためのセックスすな!」と警告文が出るようになるって!?

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一見するとお笑いのような話だが、どうやら大真面目らしい。大阪府が青少年の保護に関し画期的とも言える条例を制定しようとしている。それは、18歳未満の青少年とは、「真剣交際」以外は認めない、というものだ。

そもそものきっかけは、大阪府の「青少年保護育成条例」が他都道府県に比べて罰則要件が厳しく、逮捕や書類送検が難しいということにあった。それに対し、大阪府青少年健全保護育審議会(会長・角野茂樹関西外国語大学名誉教授)から(罰則)対象拡大の提言があり、2月25日から始まる大阪府議会での法案成立へ向けて審議がスタートすることになったのである。

さて肝心の内容だが、現行では青少年に対して脅しや嘘などがなく、“お互いの合意があれば”交際は可能、ということだったのが、原則合意があっても「真剣な交際」以外はすべて禁止するというものだ。

「真剣な交際」という言葉面だけを追っていくと一見理解するのが難しいが、要するにここでいう「交際」というのはセックスのことで、例え両者の間で合意があっても真剣ではないセックス・快楽の為のセックスには罰則を与える、ということ。この「真剣交際」という言葉はネットを中心に議論となり、その意味を巡ってさまざまな憶測ややりとりが繰り広げられいる。

そもそもこの珍妙とも言えるワードが出現した根底には、前述のように大阪府の罰則要件が(取り締まる側からみれば)甘く、未成年の援助交際やパパ活などを取り締まることが困難だったということがある。提言を行った大阪府青少年健全保護育審議会には、関係行政機関代表として大阪府警少年課長も加わっており、普通に考えれば警察主導で提言が行われた思われる。

警察サイドが欲したと思われる理由を補足する意味では、同じ2月議会で「パパ活」などのワード検索に対して、警告文を送ることの出来る条例を制定しようとしていることがあげられる。これは、スマホの広告機能を利用して「パパ活」「援助交際」などを打ち込んだ場合に適用されるもので、そのためには利用者の年齢や過去の検索を把握していることが前提となる。

要するに真剣なセックス(?)以外を禁止する条例をつくるだけではなく、青少年の買売春ツールともなっているスマホに警告文を送るという二段構えを携えて、警察がよりスムーズに取り締まりを行えるように法改正をしていく、ということなのだ。

もちろん、背景にはSNSを利用した性行為(主として売春)で青少年が傷つくことを未然に防ぐという意義があり、そのための保護が必要なのは理解できる。しかし、真剣な交際であるか否かという心の内側に踏み込むような法を制定することや、スマホの履歴を警察当局がより強く管理することへの是非は、この「真剣交際以外禁止」という突拍子もない発案の前にかすんでしまっているのが現状だ。

ネット上などでは、なかばお笑い的な議論にもなりがちだが、ここはしっかりとなりゆきを見守る必要がある。25日からの議会では、誰がどのように発言し、この法案が法となっていくのか(恐らく制定されるであろう)……それこそ「真剣」な目で注視したい。(文◎堂本清太)

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