西武山川が激白、本塁打記録更新の“野望”「日本記録の数字は低いと思います」

2年連続パ・リーグ本塁打王の西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

危機感も吐露「せっかくここまで来たのに、他人に取って代わられるのはイヤ」

 2年連続パ・リーグ本塁打王の西武・山川穂高内野手が、シーズン本塁打の日本記録更新の野望をFull-Countに明かした。

「今年は飛距離とか、柵越え何発とかではない。(意識を)もっと高いところに置いてます。もし『柵越え何発』という原稿を書きたいときは、言ってください。練習の球なら、いつでも打てますから」

 宮崎・南郷キャンプ中の練習の合間、山川はそう言って、いたずらっぽく笑った。

 このオフからバットコントロールを向上させるため、通常のものより長いノック用のバットで打つことを取り入れている。昨季は、一昨年の自己最多47本塁打には届かなかったものの、43発を量産し2年連続タイトルを獲得。打点も同僚の中村剛也内野手の123に次ぐ、リーグ2位の120をマークした。一方で、打率は.256。本塁打、打点は球界トップクラスだけに、残る打率アップを目論んでいるのか。

「もちろん、打率も高いに越したことないですが、僕は今年が終わった時に、みんなが驚くような数字を出していたい。一番は、さらにホームランを打つために確実性を上げる。確実性が上がり、幅が広がって逆方向へも飛ぶようになれば、ホームランももっと出ると思ってやっている。その練習です」と力説した。

2年連続パ・リーグ本塁打王の西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

「日本記録の数字は低いと思います」「現役でチャンスがある以上狙います」

 2年連続40発以上でのタイトル獲得も十分すごいが、さらに「みんなが驚くような数字」となると、2013年にバレンティン(当時ヤクルト、現ソフトバンク)が樹立した日本記録のシーズン60本塁打の更新?

「まぁ、それは、自分が思い描く打撃ができれば、可能性はゼロではないと思います。日本記録の数字は低いと思います」

 えっ、60本塁打は低い!? 確かに、バリー・ボンズが保持するメジャー記録の73本塁打に比べれば少ないが……。

「もちろん、60本どころか、50本打つのも相当なことですが、打率で日本記録というのはもっての他(シーズン打率の日本記録は1986年の阪神・バースの.389)ですし、(60本塁打は)射程圏内ではないですが、現役でチャンスがある以上狙います」と言い切った。

 これだけだと、自信家でビッグマウスのようにも聞こえるが、一方で心配性の一面ものぞかせる。プロ7年目だが、プロ入り当初からガンガン打てた選手ではない。「プロの世界ですから、一瞬にしてすべてを奪われるかもしれない。イヤですよ、せっかくここまできたのに、他人に取って代わられるのは。めちゃめちゃ恐怖です。正直言って、誰も来ないでほしい」と本音を明かす。

 不安だからこそ、人一倍練習する。このキャンプでも、早出、通常練習をこなした後、さらに特打や体幹トレーニングに取り組むのが日課になっている。通算本塁打の世界記録保持者で、現役時代に人並外れた練習量でも知られた現ソフトバンクの王貞治球団会長が、「練習しないと不安でしかたがない」と語っていた姿をほうふつとさせる。

「不安がない人は、あまり練習しないんじゃないですか? わかんないですけど」と山川。成功しても満足せず、さらなる高みを目指せる才能が、この男にはある。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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