イタリア旅行で見逃せない!ミケランジェロの神業によって生まれたフィレンツェの「白と黒」【イタリア】

フィレンツェの色といえば何色を思いだしますか。多くの人は、大聖堂のドームの屋根の瓦の色、赤茶けたオレンジを思い浮かべるかもしれません。実際、フィレンツェの街を歩いてみると、大理石の色が強く印象に残りました。特に大聖堂の壁は白とピンク、緑の大理石で覆われていて、派手な印象です。今回はフィレンツェでミケランジェロを巡る旅をご紹介します。

フィレンツェの色の印象は?

(C)Stella Photography/shutterstock.com

フィレンツェの色といえば何色を思いだしますか。多くの人は、大聖堂のドームの屋根の瓦の色、赤茶けたオレンジを思い浮かべるかもしれません。実際、フィレンツェの街を歩いてみると、大理石の色が強く印象に残りました。特に大聖堂の壁は白とピンク、緑の大理石で覆われていて、派手な印象を受けます。

白大理石のダビデ像

ところでフィレンツェを代表する白い大理石の芸術作品といえば、こちらではないでしょうか。

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ミケランジェロのダビデ像。ベッキオ宮殿の前に立っているのはレプリカで、本物は「アカデミア美術館」に展示されています。1500年の初頭に創られたこのダビデ像、生死を決する戦いを前に、アドレナリンが体中を駆け巡り、ゴリアテに狙いを定める、その一瞬を見事に活写しています。大理石からこの造形を切り出した、そのミケランジェロの造形力は、とても人間業とは思えません。この時、若干29歳でした。

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アカデミア美術館(La Galleria dell'Accademia a Firenze)

住所: Via Ricasoli 58-60, 50122 Florence, Italy

電話: +39 055 0987100

開館時間: 【火〜日】 8:15〜18:50

閉館: 月曜日、1月1日、12月25日

HP: http://www.galleriaaccademiafirenze.beniculturali.it/

カラーラ、大理石の街

このダビデ像によって名声を得たのは、ミケランジェロだけではありません。この大理石が切り出されてきたカラーラの大理石も、後世までその名を世界に轟かすことになりました。カラーラはフィレンツェの北西にある街で、現在も大理石の切り出しが行われています。大理石が削り取られた山肌は壮観です。また、大理石の野外ミュージアムではガイドツアーに参加することができます。

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大理石ミュージアム(cava museo)

住所: Via Miseglia Fantiscritti, 54033 Carrara MS

電話: 39 33575925 *要予約

HP: http://cavamuseo.com/en/

メディチ家礼拝堂の黒い新聖具室

この大理石の白と対をなすように強い印象を残すのが、ミケランジェロが黒い石を使った「サンロレンツォ教会」に付随するメディチ家礼拝堂の新聖具室です。

1520年代に計画されたこの部屋にはメディチ家のジュリアーノとロレンツォの二人の霊廟があり、その装飾彫刻はミケランジェロの手により白大理石から彫りだされたそうです。

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一方、この白い大理石彫刻と強いコントラストをなすのが黒い建築的装飾群。柱やコーニス、上階の窓枠や屋根を構成するアーチなど、建築的エレメントの大半は黒い石で創られています。また下階の角張った造形は、屋根に向かうに従い、次第に円形に変わってゆき、上昇感があります。部屋の中央に立ち上を見上げると、足底がフワっと床から離れてしまうような浮遊感を覚えました。

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この黒い石は「ピエトラセレーナ」という砂岩で、フィレンツェの近郊から採石されたそうです。ルネッサンス時代にはよく使われた素材で、「フィレンツェ大聖堂」を計画したブルネレスキもこの石を多く使用しています。

ところでカラーラの大理石は石灰などがプレートテクトニクスの活動により地中深くで圧縮され石になったもので、これを凝灰石というそうです。この大地の活動は、イタリア半島を縦断するアペニン山脈やアルプス山脈をつくりだしたのですから、すごい力ですよね。一方のピエトラセレーナは堆積岩で長い年月をかけて堆積した砂が圧力によって石に変成したものだそうです。

メディチ家礼拝堂 (Medici Chapels)

住所: Piazza San Lorenzo 9, 50132 Firenze

電話: +39 055 214042

開館時間: 8:15〜14:00

閉館: 【第2、4日曜日】、【第1、3、5月曜日】、正月、5月1日、クリスマス

HP: http://www.operamedicealaurenziana.org/en/home-2/

フィレンツェの白と黒

「自然が気の遠くなるような長い時間をかけて生み出した石には、全ての考えうる造形がすでに宿されている」とミケランジェロは言いました。白い大理石という光の中に立っていたダビデをその技によって誘い出し、地中深くで闇を支えていたピエトラセレーナから柱や屋根を抽出し、空間を創造したミケランジェロ。まさに神、ですね。

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大地が生んだこの見事な生成りの色の対比とその造形を、ミケランジェロという巨匠の技を通して鑑賞することができるフィレンツェは、やはりイタリア旅行では、見逃せない街ですね!

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