塩に賞味期限はある?正しい保存方法と選ぶときの目安

料理に使ったり、お風呂に入れたり、清めたり、融雪剤として使われたり、さまざまな用途がある塩。

家に常備はしているものの、なかなか使い切ることはなく、いつ購入したものかわからない人も少なくないかもしれません。

塩に賞味期限はあるのか、適切な保存方法や使い分けなど、知っているようで意外と知らない塩について、公益財団法人 塩事業センターに話を聞きました。


塩に賞味期限はある?正しい保存方法

「塩は、生物に由来してしない無機物の食品です。そのため、時間の経過による品質の変化がほとんどなく、賞味期限はありません」。そう教えてくれたのは、塩事業センターの森大介さん。

賞味期限はないものの、塩には「固まりやすい」「においがつきやすい」といった性質があるため、保存の際には注意が必要です。一度固まってしまった塩は砕くしか元に戻す方法はないといいます。

「塩を保存する時は密閉容器を使用し、温度や湿度の変化が少ない場所を選び、強いにおいのするものの側には置かないようにしましょう」

塩を選ぶときの目安に「しお公正マーク」

ひとくちに塩といっても、原材料、製造工程、粒の大きさや含まれる成分などによって、その分類方法はさまざま。では、たくさんある塩の中から、何を手掛かりに塩を選べばいいのでしょうか。

「食用塩公正取引協議会が定めたルールに則った表示をしている商品には、『しお公正マーク』が表示されています。選ぶ際には、パッケージにこのマークがついている商品をひとつの目安にしてはどうでしょうか」

というのも、かつて塩には商品パッケージなどの表示に関するルールがありませんでした。そのため、過剰に体にいい、味がいいと謳っていたり、実際と異なる産地を表示しているといった商品が販売され、公正取引委員会から表示に関する警告が発せられたことがあったといいます。

そのため、塩業界では「食用塩公正取引協議会」を設立して表示ルールを策定。そのルールに則った表示がされている商品には、しお公正マークがついています。現在、このマークがついた商品は約1600あるそうです。

注目すべき「2つの特徴」

森さんによると、料理に塩を使う時には「サラサラ性」と「かさばりやすさ」に注目してほしいとのこと。

サラサラ性は、塩の結晶の動きやすさ(流動性)のこと。「水分の少ない塩は、サラサラしていて振りだし容器での使用に向いています。肉や魚などに均一に塩を振ることができます。逆にしっとりした塩は振り出し容器には向かないので、スプーンなどですくって使用するといいでしょう」。

かさばりやすさは、スプーンですくったり、容器に入れた時に、その塩がどれくらいの量入るかを表します。「塩は種類によって結晶の大きさや形が異なります」。そのため、同じ“大さじ1杯”でも、塩の種類によって5gだったり6gだったりすることがあるので注意が必要だといいます。

「塩の粒の大きさや形、水分の量などで塩の使い勝手が変わってくるので、自分の好みなどに合わせて塩を選んでいくといいでしょう」

塩の役割

家庭では料理の味付けとして多く用いられる塩ですが、実はそれ以外にもさまざまな役割を担っています。

たとえば、漬物や塩辛は、塩に漬けることで脱水されて腐敗の原因となる雑菌の繁殖を抑えるという塩の作用を利用しています。同様に、雑菌の繁殖を抑え、微生物が働きやすい環境を整え、発酵を進ませるという塩の作用を利用しているのが味噌や醤油などです。

他にも、塩は魚や肉のタンパク質を水に溶けやすくする作用があり、これを活用しているのがハムやかまぼこ。粘り気や弾力が生まれます。また塩には、パンを膨らませる、うどんのコシを出すといった役割もあります。


料理に使うなど食用のイメージが強い塩ですが、食用の塩の需要は全体の1割程度。それ以外は、ソーダ工業(パルプや水道水の消毒薬、ガラス製品などを作る際に必要な化学薬品を製造する工業)など、食用以外の用途で使われているといいます。

さまざまな用途のある塩。それぞれの特徴を知って塩を選び、適切に保存しながら、毎日の料理に活用しましょう。

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