植松被告、両親が止めるも思い直さず やまゆり園事件公判

横浜地裁

 県立知的障害者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)で2016年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人などの罪に問われた元職員植松聖被告(30)の裁判員裁判の第11回公判が6日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で開かれ、被告は事件数カ月前、障害者を殺害する考えを自身の両親に伝え、「悲しむ人がたくさんいる」と止められていたことを明らかにした。遺族らの代理人弁護士の被告人質問に答えた。

 被告は事件前、両親の自宅マンションを訪ね、未来を予言すると信じ込んだ「イルミナティカ-ド」と障害者の安楽死についての持論を伝え、「事件を起こす」と告げたという。両親から「周りの迷惑になる」「悲しむ人がたくさんいる」と止められたが、思い直さなかったと説明した。

 事件の約半年前に衆院議長公邸に殺害予告の手紙を持参して措置入院(精神障害による強制的な入院)となり、16年3月に退院した後、両親から心療内科に通院するよう持ち掛けられたが、「大丈夫だよ」と受け流した、とも明かした。代理人弁護士にその理由を問われると、「精神薬を飲むとばかになると思うので」と答えた。

 両親が重度障害者になった場合についても尋ねられ、「人に殺されるのでなく、自分で死ぬべきだ」と返答した。

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