国が現地調査、助言へ 「斜面所有」に住民戸惑いも 逗子崩落事故

道路脇の斜面が崩落し、女子生徒が巻き込まれた現場に手向けられた花=6日午後、神奈川県逗子市

 神奈川県逗子市池子で5日朝、市道脇の斜面が崩落し、市内在住の県立高校3年の女子生徒(18)が死亡した事故を受け、国土交通省と県は6日、土砂災害の専門家による現地調査を7日に行うと発表した。

 県の要請を受けて同省から派遣されるのは、国土技術政策総合研究所の土砂災害研究室長と研究官の2人。崩落した斜面の状況を確認した上で、調査結果を同市に報告するとともに、緊急的な対応策などについて技術的な助言を行う。

 県の担当者は「原因の特定までできるかは分からないが、崩落した斜面や周辺の安全性に対する助言、今回の崩壊のメカニズムに関する見解を示していただきたい」と説明した。

 事故は5日午前8時ごろに発生。マンション下にある高さ約15メートルの斜面上部が高さ約8メートル、幅約7メートルにわたり崩落した。県によると、崩落した斜面の斜度は約60度で、2011年に土砂災害警戒区域に指定されていた。

 事故現場となった斜面の上には2004年築のマンション(38世帯)が建つ。マンションの管理組合に委託され、敷地内の設備管理を行う「大京アステージ」(東京都)によると、斜面は管理組合が所有している。斜面の専門的な点検業務は契約に含まれておらず、同社は月1回以上の目視点検を実施していたが、「崩落の危険の予兆は把握していなかった」としている。

 事故を受け、5日夜には管理組合の理事会が開かれ、事故の状況などが報告されたという。同社は「対応は管理組合が主体となるが、できることは全面的に協力したい」としている。

 マンション住民らからは戸惑いや不安の声も上がった。ある住民の女性は「住民が斜面の所有者であることは事故後に初めて知った。認識していた人は少ないかもしれない」と打ち明ける。次女家族がマンションに暮らすという近所の70歳代の女性は「斜面でまた崩落が起きないか不安、と話している。今後どうしたら良いのか心配」と話した。

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