夢・きらめき 豊中っ子

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■常にチャレンジャー
R.Tさん

3分53秒84。
リオデジャネイロオリンピック競泳男子400メートル個人メドレー金メダリスト・萩野公介選手が持っていた、400メートル自由形の中学記録を10年ぶりに更新したR.Tさん(15歳、上新田)。

初めてプールに入ったのは生後7カ月の時。スイミングスクールに通っていた姉と一緒に、母親に連れられて来たベビースイミングでした。「左足が、生まれつき内側に曲がる先天性内反足だと診断されたので、陸上より水中の方が運動しやすいかなと思いました」と話す母親のAさん。よほど水の中が心地良かったのか、Aさんの手の中で浮いていたら、そのまま寝てしまったそうです。

小さいころから泳ぐのが大好きで、スイミングスクールでは幼稚園児ながら小学生の高学年と同じクラスに。小学1年生の時には大会出場をめざすため、中学生も在籍する育成コースに進み、毎日練習していました。担当コーチの転勤がきっかけで、小学3年生の時に現在のライフスポーツKTV(夕日丘)に移籍。今も練習漬けの毎日で、土日は午前6時頃から泳いでいます。100メートルを1分程度で連続8本泳いだり、50メートルを30秒以内で泳ぎ切ったりするなど、厳しい練習メニューに取り組んでいます。
「短い距離で力を出し切るより、持久力を生かす長距離が好きです」と話すTさんが400メートルに本格的に取り組むようになったのは中学1年生の時。全国中学校水泳競技大会の大阪府予選に200メートルと400メートル自由形で出場。自信があった200メートルでは、全国大会出場に必要な標準記録を上回ることができませんでした。一方、400メートルで標準記録を上回るのは難しいと思っていましたが、いざ出場すると、見事上回りました。「隣のレーンの選手が速かったので、付いていくのに必死だった」と振り返ります。出場選手の大半を中学3年生が占める全国大会で中学1年生ながら出場できる選手はわずか数人。400メートルなら全国で戦えるという自信につながる大きな分岐点でした。それからは、ますます練習に力が入るようになり、徐々に400メートルのタイムを縮めていきます。

中学2年生の時に、大学生や社会人も出場する日本選手権水泳競技大会やジャパンオープンに出場。この大会で好タイムを記録したことから、18歳以下が出場する国際大会であるジュニアパンパシフィック大会の日本代表選手に初めて選ばれました。この大会の400メートル自由形で自己ベストを更新し、3分57秒83を記録。萩野公介選手が持っていた3分55秒10の中学記録の更新を狙えるタイムだったので、中学3年生で400メートル自由形の中学新記録樹立をめざそうと決意します。

令和元年(2019)8月に全国中学校水泳競技大会や全国JOCジュニアオリンピックカップ夏季水泳競技大会の400メートル自由形でそれぞれ優勝したものの、中学新記録を出すことはできませんでした。「気持ちばかりが先走っていました。良いタイムが出るときは、いつも楽しんで泳いでいたことを思い出しました」。そして9月に迎えた国民体育大会水泳競技大会。予選では体力を温存したまま、決勝進出を決めました。「決勝では楽しむだけ。みんなが応援してくれている。力まずに」。そう胸に刻み、決勝戦がスタート。前半の200メートルで時計を見ると、自己ベストを更新した全国中学校水泳競技大会と同じタイムにもかかわらず、疲れを感じていませんでした。300メートルのターンを迎え、残り100メートルを1分以内に泳げば―。そんな思いが頭をかすめ、最後の力で泳ぎ切りました。時計を見上げ、思わず二度見。大きな歓声が響き渡る中、自然と片腕を突き上げていました。

「ずっと新記録を狙っていたので、うれしかったです。応援してくれたチームメート、コーチ、そして両親に感謝しています」。

4月には東京オリンピックの日本代表選手選考会の大会を控えます。「選考会では決勝戦に残ることが目標です。次のオリンピック出場は難しいですが、令和6年のパリオリンピック出場をめざします」と力強く話してくれたTさん。これからも挑戦者として、新たな目標に突き進みます。

※他の受賞者をまちかどスケッチで紹介しています(関連記事本紙43ページ)

◯奇数月は「リレーエッセー」、偶数月は「豊中っ子」を掲載します