1700年前の鍛冶工房跡 小型鉄器生産か 大村・帯取遺跡

帯取遺跡で見つかった鍛冶工房跡。写真右側が遺構中央部の炉跡=大村市今富町

 大村市今富町の帯取遺跡で、約1700年前の弥生時代末~古墳時代初頭ごろの鍛冶工房跡が見つかった。同時期の鍛冶工房の発見は壱岐市のカラカミ遺跡に次いで県内2例目で、大村市教委は「集落で小型の鉄器を作っていた工房と考えられ、当時の鍛冶の技術や普及状況を考える上で重要な遺構」としている。
 遺構は宅地造成工事に伴い、昨年12月から実施された遺跡確認調査で発見。調査面積は約95平方メートル。7メートル四方の竪穴建物の中央部に一つ、北東部に三つの鍛冶炉を備えていた。
 鍛冶炉はいずれも建物の床面などを炉底として使用する簡易的なタイプで、水の浸入を防ぐためと思われる溝も確認された。このタイプの炉は剣やおのなどではなく、のみやきりなど小型鉄器の生産に限られ、集落で使用する道具を作っていたと考えられるという。
 調査では金属探知機のほか、同心円状に色が変化しているなどの痕跡から工房跡と特定。周辺からは鉄器片や砥石(といし)、鉄が付着した石材なども出土した。
 6日に報道機関向けに開かれた現地説明会で、市教委の柴田亮学芸員は「県内には同様の遺構がほかにもあると考えられ、鍛冶工房と評価するのに今回の遺構を参考にできる。周辺には大型鉄器を作っていた工房が存在する可能性もあり、当時の鉄に関するネットワークの解明を進められれば」と話した。
 11日午後1時半からは、現地で一般向けの説明会も開かれる。問い合わせは市教委文化振興課(電0957.53.4111)。

遺構から出土した鉄器片や砥石など

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